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夜間飛行メルマガ
ジョン・キム 
媚びない人生の作り方
仕事、人間関係、社会の中で生きる意味……。人生を支える芯を手に入れるためのメルマガ。読者限定の「野良猫塾」も毎月開催!

ご愛顧ありがとうござました。2012年12月いっぱいをもちまして、メルマガ『媚びない人生の作り方』は終了いたします。 バックナンバーは引き続き、ご購入いただけます。また別のかたちでのジョン・キムさんのご登場をお待ちください。ありがとうございました

夜┃間┃飛┃行┃
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“The Book Project 夜間飛行”では、次世代の「本」の形を提案します

┏┓ジョン・キムメールマガジン『真夜中の幸福論』
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2011年1月6日 Vol.000<はじまりは真夜中の庭で>

はじめまして、ジョン・キムです。僕のメールマガジンが2月よりスター
トします。生き方や仕事、そして恋愛を含めた人間関係などの身近な問題
について、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

今回は「0号」。僕がメルマガを始めようと思った動機などについてお話
しします。

まず、ひと言。僕はこのメルマガを、読者ひとりひとりと向き合う場にし
たいと思っています。具体的には、メルマガ上に読者のみなさまからの質
問に答えていくQ&Aコーナーを設けることと、都内で読者参加型の『カフ
ェ・ゼミ』を開催し、さらにその内容をメルマガで発信していくことを考
えています。

大学の外でゼミを開くという意味で、これは自分としても新しい試みです
が、それだけに、思いがけない素晴らしいものが生まれるのではないかと
期待しています。

興味を持たれた方は、ぜひジョン・キムの「庭」にお越しください。

毎週水曜、このメルマガを通じて“オープン・ザ・ドア”の鐘を鳴らしま
すので耳をじっと澄ませてお待ちください。


【「夜間飛行」編集室より】
質問、悩み、記事への感想などは、●●●@yakan-hiko.com(400文字以内)
までお送りください。「恋愛寺子屋」コーナーなど、メルマガ内のコン
テンツで適宜、取り上げます。「こんなコーナーを作ってほしい」「座談
会でこんな話題を取り上げてほしい」といったご要望もお待ちしています。

@bookyakan (夜間飛行公式twitterアカウント)
@kimkeio(ジョン・キム先生twitterアカウント)
でも、皆さんからの感想をお待ちしております。

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※有料メルマガの購読、課金に関するお問い合わせは、
support@yakan-hiko.comまで。届かない場合などは迷惑メール等に分類さ
れている場合もありますので予めお確かめください。
※バックナンバーは下記からウェブ経由で購入することができます。有料
です。
http://yakan-hiko.com/kim.html
※発行日は毎週水曜日です(第5週目はお休みとさせていただきます)
※本メールマガジンの変更・解約は夜間飛行のホームページログイン後、
マイページより可能です
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┏┏┏┏ 今週の目次
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0号・スペシャルインタビュー

01 僕が考える「幸福の条件」
02 トンネルの中にいた20代
03 無数の出会いが軌跡(tracks)をつくる
04 みんな、もっと「孤独」であれ!
05 自分だけの山を見つけること
06 ジョン・キムが伝えたいこと~vol.1~4コンテンツ予告

※メルマガ『真夜中の幸福論』のHTML版
http://yakan-hiko.com/kim.html
は、写真などを埋め込み最適化されたレイアウトで読むことができます。
ぜひお試しください。

※また夜間飛行では2011年11月より、バックナンバーも含めたすべてのメ
ルマガをePub形式で読むことができるようになりました。トップページか
らログイン後、著者ページ→バックナンバーでご希望の号を開くと、メー
ルアイコンの横に本のアイコンが出ています。そちらからダウンロードで
きます。ePub形式ファイルは各種の電子書籍リーダー(専用端末やスマー
トフォンのアプリなど)で読むことができます。


☆第1回「カフェ・ゼミ」開催のお知らせ☆
『真夜中の幸福論』では、メルマガ読者を対象に、毎月「カフェ・ゼミ」
を開催いたします。お茶を飲みながら、ジョン・キムさんと直接「今、抱
えている問題」についてお話ししませんか。

◎お申し込み方法その他
◆日時:1月22日(日)15時~17時
◆参加費用:1500円(当日お支払いいただきます)
◆場所:カフェ「ランディ」
東京都港区六本木1-3-37 アークヒルズアネックス
南北線 六本木一丁目駅から徒歩5分
銀座線 溜池山王駅から徒歩8分
日比谷線 神谷町駅から徒歩8分
六本木一丁目駅から254m
http://www.arkhills.com/shops/2010/06/post-17.html
◆お申し込み方法:●●●@yakan-hiko.comまでメールにてお申し込みくださ
い。メルマガ購読の際に登録したメールアドレスとお名前を添えていただ
けますと幸いです。定員を超えた段階で締め切らせていただきます。あら
かじめご了承ください。ご参加いただける方については、編集部よりメー
ルにてご案内させていただきます。


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01 │僕が考える「幸福の条件」
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――まず、ジョン・キムさんがメルマガを始めた理由と、「真夜中の幸福
論」というタイトルに込めた想いについて、お聞かせください。

僕はいわゆるメディア研究を専門としてきましたが、これまでヨーロッパ、
アメリカなど各国を転々として暮らし、さまざまな文化に触れてきた中
で、むしろ「人間はどう生きればいいのか」というような人生に関わる根
本的な問いついて常に考え続けてきたところがあります。

そこで自分と同世代、あるいはもっと若い世代の人たちと悩みを共有し、
一緒に答えを考えていく場はないか? と考えた結果、たどり着いたのが
この「メルマガ」という形でした。

こんなことを言ってはさしつかえがあるかもしれませんが(笑)、僕は決
して何万人といった多くの読者を想定しているわけではありません。むし
ろ、ひとりひとりと対話する感覚で、このメルマガを発信していきたい。
極端なことを言えば、誰かひとりが読んで何かを感じ、自身の幸福の増大
に活用していただければ、僕はそれでもう十分満足というわけです。

「真夜中の幸福論」というタイトルには思い入れがあります。「幸福」と
いう言葉に、誰もがぼんやりとしたイメージは持っていても、じゃあ具体
的にどんな状態を幸福と呼ぶのか、ということについては答えにくい。な
ぜなら、我々のほとんどは幸福について真正面から考えたり、議論したり
したことがないからです。そこで「幸福ってそもそも何?」「幸福の条件
って何?」「その幸福の条件を手に入れるには何をすればよい?」という
ことについて、皆さんと一緒に考えてみたいと思い、この言葉を選びまし
た。


――ジョン・キムさんが考える「幸福」とは何でしょうか。

僕が考える、人間にとって「幸福」というのは、実はとてもシンプルなも
のです。それは、その人が“自然体”で生きていること。「自分が愛せる
自分自身」として生きていることです。

自然体として生きる、ありのままの自分として生きるための必須条件は、
ぶれない「軸」が自分の中にしっかりとあることだと僕は考えています。
自分の人生を支える確固たる軸があって、その軸と日常の思考・言動を一
致させてはじめて人間は幸福に生きることができる。それは周りの目を気
にしすぎないことを意味し、常にありのままの自分として、穏やかに、大
らかに生きていくことを意味します。

ところが自分の「軸」を作ることも、周囲に流されないことも、現代の社
会に生きている以上はそう簡単に手に入れられるものではありません。自
分を取り巻く人々や、日常の環境は絶えず変化し、自分自身も変化します。
こうした自分も他者もそして環境も、ある意味、気まぐれに変化してい
る中で、自分の軸を構築し、そしてそれを持ち続けるためには、相当な決
意や努力が求められます。


――意識的かつ継続的な努力によって得られる自分の軸こそが、「幸福」
になるための鍵なのですね。

もちろん、その軸をつくるプロセスにも「幸福」の種はあります。僕は職
業柄20代の学生たちと接する機会が多く、日常生活や将来の進路などに関
する相談をたびたび受けることがあります。彼らと話していると、ほとん
どの人が自分の人生の「軸」が見つけられない焦りや葛藤を抱いたまま日
々を過ごしています。彼らは彼らなりに頑張ってはいるんだけれども、ど
こか漠然とした不安を抱えていることが多い。

しかし、視点を変えれば“漠然とした不安”というのは青春の特権でもあ
ります。言い換えれば自己の中に潜む“無限なる可能性”の証拠でもある
のです。そういう彼らには、人の目を気にせず、自分の可能性を信じて、
焦らず、無理せず、一歩ずつ自分の軸を確かなものへと作りあげてほしい
と思います。

そうした想いというのは教育者として一方的に「講義」をするのではなく、
ひとりの人間として彼らと直接向き合い「対話」するスタンスをとるこ
とではじめて伝わるものです。

僕のメルマガで目指しているのもまさにそういうスタンスで、このメルマ
ガが皆さんにとって、僕との対話を通して自分自身と向き合い、自己省察
するきっかけ、「軸」を構築していく“場”になればと切に思います。


――もう少し詳しく、キムさんが目指す“場”について教えてください。

一度社会に出てしまうと、自分と向き合う時間、いわば「純度の高い自分
に戻る時間」というものは、なかなか持ちにくい。特に20~30代のうちは
仕事に忙殺される日々の連続で、そんな暇はないという人も少なくないで
しょう。しかしそういう時期こそ、自分を見つめなおす「空白の時間」を
意識的に作った方がいいんです。。

ですから僕は、できればこのメルマガを無数のルールと情報に取り囲まれ
た日常の生活からは少し離れた、架空の空中庭園のような場所にしたい。
タイトルの「真夜中」というのも、そうしたところから来ています。「真
夜中」って“聖域”というか「自分が純粋に自分に戻る静寂な時間」です
よね?

僕が目指しているのは、ちょっと難しい言い方をすると「僕たちの内面に
ある自由な領域」というものをいかに広げていくかということです。この
メルマガから生まれた気づきが、少しでも自分と向き合うきっかけになれ
ば嬉しいですね。

ただ、ひとつだけ念を押しておきたいんですが、「僕の言うことを一から
十まで守ってくれ」と言うつもりはまったくない。僕は学生にもよく「本
に書いてあることや、人から言われたことを鵜呑みにするな」と厳しく言
うんですが、それは僕の言うことも例外じゃない。答えは、あくまで、皆
さんとの対話の中で一緒に見つけていきたいと考えています。



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02 │トンネルの中にいた20代
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――「幸福になりたい」、「成功したい」という気持ちは誰もが思うこと
で、その気持ちが強いほど、悩みも深くなるのかなと思いますが、キムさ
んご自身は若い頃に激しい葛藤などを経験された時期はあるのでしょうか?

それは、もちろんあります! 僕が過ごした20代の10年間は、まるで先が
見えませんでした。「成功したい」という気持ちは誰よりも強かったです
けれども。おもに実績がないということに起因するのですが、とにかく自
分に自信がなかったですね。でも一方で強がる自分がいて。そういう自分
が試行錯誤の中で自己省察を積み重ねて、何とか今の自分がある、という
のが正直なところです。

僕の人生の最初のターニングポイントは10代の終わりです。19歳で国費留
学をすることになったときに、日本海を渡る飛行機の中である決意をした。
それがその後の10年間を決定することになりました。その決意とは、「20代
の10年間、自分のやりたいことは徹底的に我慢して自分のやるべきことをこ
なす」ということです。


――決意された理由は何だったんでしょうか?

一番大きな理由は、「やりたいことはいっぱいあったが、それができると
いう自信が自分の中にまったくなかった」ということです。それはある意
味では自分を冷静に客観視していたから、そう思ったのでしょうね。やり
たいことはあるけれども、一方で社会における自分の力のなさや未熟さと
いうのも同時に痛感していた。

もうひとつの理由は、好き、嫌い以前に「まず結果を出したかった」。と
いうのは、やりたいことをやるときに自分ひとりの力では何もならないだ
ろう、ということはなんとなく分かっていたんです。だから、まずは自分
の目標や志に賛同してくれる人、信頼してくれる人、自分が巻き込めるよ
うな仲間を作らないといけないと思っていたんです。

自分の周りの人に対する信頼、逆に周りの人たちの自分に対する信頼をど
ういうふうに作りあげるか。そのことを考えたときに、答えが明白に見え
て来ました。それは自分が努力して生み出した「結果」によってのみ、他
者の信頼を集めることができるということです。

その10年間というのは、とにかく努力をして、結果を出していけば、きっ
と誰かが自分に対して価値を認めて信頼を寄せてくれる。そして30代にな
り、「自分はこういうことをやりたい」と言ったときにきっとその賛同者
達を巻き込むことができるはずだ……と考えていました。

「泳ぎ」に喩えると、プールの中で一生懸命泳いで、海に出る準備をする
ようなものです。いずれはプールから出て、湖や川や海に出ていくために、
じっくりと力を貯めておく。最終的な目的地はハワイでも、アラスカで
もどこでもいい。自分が決めたところまで泳いでいけるような強靭な体力
を、10年間は徹底して我慢して作り上げるということです。

通ってきた道を振り返ってみると、20代の10年間はまるで真っ暗なトンネ
ルのようでした。「永遠にトンネルからは抜けられないんじゃないか」と
いう不安の中で、ひたすら這って進むようなもの。若くして学生結婚し、
おもにアメリカ、イギリス、ドイツ等で留学・研究をしながら過ごしたん
ですが、経済的・物理的制約もあり、あの時代の記憶は全体的にセピア色
がかかっています(笑)。タイムマシンがあって仮に当時に戻れるとして
も、思い出すのも辛すぎて戻りたくない。

しかし、これは強調しておきたいんですが、僕は、20代の10年間がそれほ
ど辛いものであっても「その道が間違っていた」とはまったく思わないん
です。


――それはなぜでしょうか?

僕は、「結果に対し、責任を負う決意を持って自分が選択した道は常に正
しい」と思っているからです。

「自分の行動の結果はすべて自分の成長材料になる」。そう思えばどんな
結果でも喜んで受け入れることができる、というふうに僕は思うんです。
今、振り返って見ると、あの10年はまさに僕を成長させてくれた糧であり、
青春の全てが詰まった本当に素晴らしい時間だった。ただ、戻りたいか
というと、やっぱり戻りたくはないですけれどね。(笑)

ここで「結果」という言葉について補足をします。結果というのは「自分」
と「自分ではコントロールできない部分」が混合した形で出てくるもの
で、そこには必ず “不可抗力”というのが存在します。

言い換えれば、「運命の女神にゆだねる部分」と「自分が何とかできる部
分」、つまり“不可抗力”と“可抗力”、その線引きを明確に意識するこ
とが、迷わず自分が信じる道を進んでいく上で大切なんです。

自分ができることの中で最善をつくしても、いたずら好きな運命の女神は
必ず結果に介在してくるので、最終的に何が出てくるかは分からない。大
事なのは、自分ができる範囲で最善を尽くすことと、その末の結果をどう
受け止めるかということ。そしてその結果をきちんと自分の“学びや成長”
の材料に生かすことです。




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03 │無数の出会いが軌跡(tracks)をつくる
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――先ほどのお話の中で、「運命の女神」という言葉がでてきましたが、
人生において「運を味方につけるコツ」というのはあるのでしょうか?

瞬間、瞬間の「出会い」を大事にし、つねにアンテナをはるということで
すね。日本に来たのも、思いがけない偶然が重なり、縁がそうさせたとい
うのがふさわしいと思っています。例えば、私が教員として慶應大学に来
ることになったきっかけは、自分が海外留学していたときにある国際会議
で偶然出会い、その後も交流が続いていた慶應大学のK先生が誘ってくだ
さったことです。

実はその頃、ドイツでの研究生活を終えて、次にスイス連邦工科大学(ET
H)に行くことがほぼ決まりかけていたんです。チューリッヒに行って最
終面接を受け、首尾は上々。「次はここだ」という気持ちで妻と電車に乗
ってハンブルグに戻った夜に、思いもかけないメールが一通来ていた。「
慶應大学にデジタルコンテンツの研究所が新設されるので、来月から日本
に来れませんか」と。驚きましたね。

チューリッヒで新しい経験を積みたいという気持ちもあったのですが、そ
ろそろ腰を据えて研究をしたいという気持ちもあり、日本に来ることを決
めたわけです。このような大きなチャンスをつかむ「運」が巡って来たの
は、K先生との「出会い」を大事にし、つねにアンテナをはりめぐらすこ
とによって、研究成果が出る度に、論文等をK先生に送るなど自分のプレ
ゼンスを示すための小さなアクションを積みかさねてきたからです

そのときに僕が気づいたのは、人間関係というものは、つきあった時間的
な長さではなくて、そのときの自分と相手との共有した一瞬一瞬の深さ、
濃さというものによって作られるのだ、ということです。一緒に過ごした
時間が短くても、「思いを伝えたい」という強い気持ちと行動があれば、
思いは伝わるということ。

自分が次にどうなるか分からない状況であっても、一生懸命に努力を積み
重ねてさえいれば、それを誰かがどこかで見てくれるもの。もっと言えば、
たとえ誰も見てなくても、少なくとも「自分は自分のことを見ている」
はずですよね。そういうトンネルの中で不安になりながらも必死で頑張る
自分っていうものを、別の自分が暖かくケアする、ほめてあげるっていう
ことがとても大切であると僕は思います。自分の一番の味方は自分自身で
あるべきです。

「運を味方につけるコツ」というトピックからは少し話がそれますが、「
出会い」や巡り合わせを無駄にしちゃいけないのは、人だけではないと思
います。知識も同じです。僕はアメリカ留学していたときに、図書館の中
で自分だけの「知の軌跡」を作りたかった。

「知の軌跡」、すなわち「自分だけの知の帝国」を築くために僕が取り組
んだのはこのような方法からです。それは特定の分野について極めるだけ
ではなくて、ある問題について興味を持ったときには、それが別の分野の
領域であっても積極的に文献や雑誌を読むんです。その中で興味を持った
分野があれば、それについてさらに調べる。さらに興味を持てば調べてい
く…というように、己の知的好奇心のおもむくままに、横断的に学び続け
たのです。そうして、自分の知識領域を既存の学問分野を超えて広げてい
きました。

つまり、その瞬間、瞬間の出会いに対して自分が主体的に選択し、行動し
た結果として、ふと後ろを振り向くと軌跡(track)ができているんです
ね。

ほかの人であれば、既存の分類軸に基づいて「これとこれの分野は違う」
「これは知ってるけどこれは知らない」というような場合でも、僕は文脈
を作ることができる。そういう自負を持ってやってきました。法学、政治
学、経済学、社会学、ジャーナリズム……境界を越えたときに境界は消え
ていくものです。みんなから眺めれば知識や情報の間に境界があるんだけ
れど、境界を意識的に超え、地図を塗り替えてきた僕にとってはシームレ
スなひとつの帝国になっているのです。



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04 │みんな、もっと「孤独」であれ!
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――さきほど「幸福」の条件に関する項目でキムさんがおっしゃっていた
「自分の軸」を作るには具体的にはどうすればいいのでしょうか?

「孤独」を恐れないことです。特にソーシャルメディアや情報機器の発達
で、最近の若い世代の方はつながっていないと不安になる方も多いように
感じます。

「孤独」というとどことなくさみしい、ネガティブなイメージを抱く人も
多いと思いますが、人間は、そもそもひとりで生まれてひとりで死んでい
くわけです。だから、孤独というのはある意味で最も自然な状態。「内面
にいるもうひとりの自分」と向き合う時間になるという意味では、一般に
考えているよりも、孤独な時間というのははるかに豊かなもので大切なも
のだと僕は考えています。自分と向き合う密度の濃い時間を過ごすのは、
ある意味では人生の中で最も幸せなことではないでしょうか。

「孤独」は「自分の軸」を作るために欠かせない力を養ってくれます。そ
の力とは、「真実」を見極める能力です。ひとりになって、自分自身の声
に耳を澄まさなければ決して身につかないものです。

当初僕は、世の中には不変の「真実」があってそれにたどり着くことを目
標に学問をやってきたところがありました。しかし、4カ国くらいを転々
としながら研究を続けることで分かってきたのは、世の中にはふたつの種
類の真実があるということ。

ひとつは、「1+1=2」というように完全な規則性があるもの、僕はこ
れを「絶対的真実」と呼んでいます。ふたつめは、社会的に構築されたも
ので、政治性や文脈依存性が高い真実、僕はこれを「社会的真実」と呼ん
でいます。

社会というのは常に変化するものですから、後者は「真実」といいながら
も、相対的なもので、絶対的なものではないわけです。何に対して相対的
かというと、主に「時間軸」と「空間軸」に対して相対的です。例えば、
500年前の真実と今日の真実は必ずしも同じではないという意味で、社
会的真実は「時間軸」に依存すると言えます。また同じ時間軸でも、日本
での真実とアフリカ諸国での真実は必ずしも同じではないという意味で、
社会的真実は「空間軸」に依存すると言えます。そういう意味では、「真
実」というものに対して自分の基準軸でクリティカルな考察をすることが
重要で、何事があっても鵜呑みにすることはしない、という決意が、学び
に対する姿勢として大事であると言えるでしょう。僕も学生時代から鵜呑
みにしないための工夫をしてきました。

19歳で初めて日本に来たとき、まだ日本語もたどたどしい状態でした。そ
ういうとき、あえて自分に言い聞かせたのは、「他者の話に対して、考察
を加える前に鵜呑みにすることは絶対やめよう」ということです。

例えば、大学教員として言うのもなんですが、大学の「講義」というのは、
ある意味重大な弊害を持っていると僕は思うのです。講義を受ける、と
いう言葉使いからもわかるように、講義形式の中で学生は主体的な意識を
持たない限り、どうしても受け身になりがちです。それでは「真実」を見
極める力は身につかない。そこで「質問力」というのが重要になります。

アメリカや日本での留学時代、僕はとことん「質問」をすることにしてい
ました。講義の最後に「誰か質問はあるか」と教授に聞かれたときに、と
にかく一番に手を挙げる。もちろん、いい質問ができなければ自分が恥ず
かしい思いをしますから、講義の初めからスマートな質問をするためだけ
に、講義を聞いていました。もし講義の最初の20分でいい質問が見つかれ
ば、これをいかにきれいな日本語で質問するかということを、残りの時間
で考えていた。その後の講義は聴いてなかったですね。(笑)

このように、「孤独」と向き合う時間を持つこと。そして「真実」を見極
める力を養うこと。そうした主体的な学びを実践し続けていく中で、徐々
に「自分の軸」が作られていくのです。



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05 │自分だけの山を見つけること
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――つねに自分を成長させるために、心がけるといいことはあるのでしょ
うか。

とくに若いうちは、「自分の山」を見つけることが大事だと思います。た
だし、見つけるには努力をし続けることが前提です。よく学生に「人生の
目標を見つけるにはどうすれば良いですか?」と聞かれることがあります
が、人生を賭けてもいいくらいの目標がそう簡単に見つかるはずはありま
せん。よって常に、自分のnet valueとは何か、net contributionとは何
か、という自己の存在意義やポジショニングを意識しながら、努力し続け
ていくことです。

「自分だけの山を見つけること」というのに補足をしますと、僕は誰にも
取り替えがきかない人間がこれからの創造社会において必要な人材なのだ
と考えています。すなわち、機械やコンピューター、そしてインドや中国
をはじめとする開発途上国の安い労働力に取って替わられないくらいの「
代替不可な自己を確立すること」が大事なのです。現代はいわば「出るク
ギは打たれる時代」から「出る勇気や実力がない者はクビになる時代」へ
突入した時代。勇気を持って、自分という存在を高め、成長し続けてほし
い。



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06 │ジョン・キムが伝えたいこと/vol.1~4コンテンツ予告
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――最後にお伺いします。このメルマガでどんなことを発信していく予定
ですか?

人間が幸福になるためにはどうすればいいのか? ということについて、
先ほど「自然体で自由に生きていくこと」だとお話しました。そのために
必要になるのは、「内面的な強さ」です。内面的な強さは4つの要素で構
成されていて、それは「感情、思考、言葉、行動」です。メルマガで主に
この4点について皆さんと議論していきたいと考えています。

それに加え、「時間」や「恋愛」などについても触れていきたいと思いま
す。「時間」というものは、僕は「命のかけら」であると思うんです。単
に効率性で片付けられるような種類の問題ではありません。瞬間に対する
緊張感、瞬間を刻むような生き方について考えていきたい。

一方、「恋愛」というのは、大人になるにつれ、脇役になりがちな人生の
中で自分が「主役」として再び躍り出られる数少ない場面です。一時期、
ツイッター上で「真夜中の恋愛寺子屋」を開設し、恋愛相手や自分の抱く
恋愛感情との向き合い方などについて考えを述べていて非常に反響があっ
たのですが、ここでは皆さんの実際の相談に応じるという形で、更なるバ
ージョンアップを図っていきたい。

『カフェ・ゼミ』でも、これらのテーマについて、参加してくれた方に自
由に発言してもらって、楽しい議論を進めていきたいと思っています。実
際に参加してくれればもちろん嬉しいですし、メルマガからその空気を感
じてくれてもいい。何が出てくるか分からないですが、皆さん、まずは第
1号を楽しみにしていてください!


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『真夜中の幸福論』は、読者参加型のメルマガです。
下記コンテンツを予定しています。

・カフェ・ゼミ(メイン)
※テーマと場所は事前に告知いたします。別途参加費用1500円がかかりま
す。定員を超えてしまう場合は、受付を締め切らせていただく可能性があ
ります。あらかじめご了承ください。<さっそく1月22日(日)15時~17
時に第1回「カフェ・ゼミ」を企画させていただきました。場所はアーク
ヒルズのカフェ「ランディ」にて。お申し込みは●●●@yakan-hiko.comより。
必ずメルマガご購入時に登録したメールアドレスとお名前をお添えください>
・恋愛寺子屋
・(隔週)スペシャルゲスト対談(津田大介さん、本田直之さん、おちま
さとさん等を予定)
・ジョン・キムの眼~今週の気になるニュース
・Q&A
・今週のジョン・キムのことば
・真夜中の庭より~編集後記~
・講座、講演、イベント情報
・メディア情報

【プロフィール】

ジョン・キム 
慶応大学特任准教授・韓国生まれ。日本に国費留学。米インディアナ大学、
英オックスフォード大学、ドイツ連邦防衛大学、米ハーバード大学を経て2004年から現職。
アジア、アメリカ、ヨーロッパ等、3大陸5ヶ国を渡り歩いた経験から生まれた独自の哲学と生き方論が支持を集める。
ツイッターアカウントは@kimkeio。


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までお送りください。「恋愛寺子屋」コーナーなど、メルマガ内のコン
テンツで適宜、取り上げます。「こんなコーナーを作ってほしい」「座談
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[著者プロフィール] 慶応大学特任准教授・韓国生まれ。日本に国費留学。米インディアナ大学、英オックスフォード大学、ドイツ連邦防衛大学、米ハーバード大学を経て2004年から現職。アジア、アメリカ、ヨーロッパ等、3大陸5ヶ国を渡り歩いた経験から生まれた独自の哲学と生き方論が支持を集める。