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夜間飛行メルマガ
小寺信良&西田宗千佳 
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」
コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。
家電、ガジェット、通信、放送、映像、オーディオ、IT教育など、2人が興味関心のおもむくまま縦横無尽に駆け巡り、「普通そんなこと知らないよね」という情報をお届けします。毎週金曜日12時丁度にお届け。1週ごとにメインパーソナリティを交代。

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【 最新発行日 】 2016年 06月 24日
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夜┃間┃飛┃行┃
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“The Book Project 夜間飛行”では、次世代の「本」の形を提案します

┏┓小寺信良の「金曜ランチボックス」
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2011年11月1日 Vol.000 <紆余曲折を経てメルマガ創刊>


--「金曜ランチボックス」創刊にあたって--

 モノカキにとって有料でメールマガジンを出すということは、すごく特別な
意味を持っている。従来のいわゆるライターなる職業は、出版社に、さらには
雑誌やWebサイトのようなメディアに依存している。つまり連載や寄稿の依頼を
受けて、それをこなすことでギャラを貰っている。メディア側から連載を打ち
切られたり、寄稿の依頼が来なくなったりすれば、それでライター人生はアウ
トである。別に「付け届けを怠ったカドで連載打ち切り」のようなことはない
が、メディアが売れなければ、一緒に沈没することになる。

 一方、有料でメルマガをやるということは、自分でメディアを持つというこ
とである。自分で「ヤーメタ」と言わない限り続けられる。これはね、何度も
言うけれど劇的なことなんですよモノカキとしては! これまでいろいろな仕事
をして、いろいろ面白い目にもひどい目にも遭ってきたわけだが、そんな紆余
曲折人生の果てにコイツはどんなことを考えているのか、そこをお楽しみいた
だければと思っている。

 メルマガのタイトルを決めるにあたっては、いろいろ考えた。割とオーソド
ックスなのがいいというアドバイスもあったので、まず四文字熟語でひねって
みた。一例を挙げると、

 小寺信良の虚心坦懐
 小寺信良の外柔内剛
 小寺信良の傍目八目
 小寺信良の賛否両論
(*意味はググってくださいねー)

あたりはどうかと考えたが、どうもしっくりこない。では造語ではどうか。

 小寺信良の蛇行人生
 小寺信良の事象推論
 小寺信良の白昼潜水
 小寺信良の五十歩ヒャッホウ

 考えすぎると大抵のことは破綻するものであるが、後半は明らかに脱線して
きている。「白昼潜水」は「夜間飛行」の逆は何かと考えた結果である。「五
十歩ヒャッホウ」に至っては、もはや意味がわからない。

 完全に行き詰まった。そこで先に項目案を考えることにした。この際なので
コラム以外にもいろいろ盛り込んで、バラエティランチ的な、どれか一つは好
きなオカズが入っている的なふうにしたいな、という品揃えを考えてみた。

■コラム: 現象試考
知財、IT産業、ネット、放送にまつわる問題や社会現象を分析、考察していき
ます。ITmediaでの好評連載がメルマガで復活。

■レポート: こんなん出ました
AV機器、ITガジェット、WEBサービスなどの発表会・新製品をレポートします。
〔不定期配信〕

■対談: Small Talk
毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。

■エッセイ: 今週のこぼれ話
毎週さまざまなメディアで発表したコラムの裏話、入れられなかった話などを
綴ります。書評、音楽評、単なるバカ話も。

■セミナー: ニュースの現場の作り方
ビデオジャーナリズムの手法を長期連載で解説します。機材の選定、収録の仕
方、編集論など、ネットで使えるビデオレポートの作り方が学べます。

■過去記事: 小寺信良アーカイブス
過去に発表したコラムなど、今読み返してじわじわ来るものを選んで掲載。数
々の名作・珍作が蘇ります。

■ニュースクリップ: おかめはちもく
今週発表されたニュースの中から気になるものをピックアップ。その裏側に隠
された意味を考察します。

 金曜のお昼配信だし、週末のお昼時をなんかこういう読み物で楽しんでもら
えれば……そんなことを考えていたら、「金曜ランチボックス」なる言葉が降
ってきた。別にお弁当屋さんになりたいわけではないが、あまり力を入れすぎ
ないあたりがちょうどいいんじゃないかな、と思う。時には「コデラさんそれ
重すぎて食えない……」という話が混入する可能性もあり、こんな調子でのっ
けから大変アレではありますが、毎週金曜のお昼ごろにお会いいたしましょう。


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support@yakan-hiko.comまで。届かない場合は迷惑メールフォルダに分類され
ている場合もありますので、お確かめください。

※バックナンバーは下記からウェブ経由で購入することができます。有料で
す。
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※発行日は毎週金曜日です。ゴールデンウィーク、お盆、年末年始には、適宜
合併号を発行します。

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より可能です。
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┏┏┏┏ 今週の目次
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01 過去記事: 小寺信良アーカイブス
02 ニュースクリップ: おかめはちもく

※創刊準備号では、一部のコンテンツのみ掲載しています。

※メルマガ『小寺信良の「金曜ランチボックス」』のHTML版
http://yakan-hiko.com/kode-nishi.html?tab=2
は、写真などを埋め込み最適化されたレイアウトで読むことができます。
こちらもお試しください。

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01 │過去記事:小寺信良アーカイブス
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過去に発表したコラムなど、今読み返してじわじわ来るものを選んで掲載。数
々の名作・珍作が蘇ります。〔毎週配信〕

今回はITmediaで連載していたコラム「小寺信良の現象試考」の中から、読者
の評判が良かったサマータイム法案に関するコラムを再掲載します。今にして
みれば、まだこんなことで国会がガタガタしていたのかと思うと、平和な時代
でしたね。

________________________
日本にサマータイムは有効か
(初出:『ITmedia』 2005年4月4日 「小寺信良の現象試考」より)
________________________


 筆者の父は、地方公務員であった。勤務先が自宅から自転車で10分ほどの福
祉事務所だったこともあって、夏場は日没までにまだいくらかの時間もあるう
ちに帰宅したものだ。

 毎日時計のような正確さで5時15分に帰宅すると、長いホースを引っ張り出し
て庭の植木に水をやる。筆者が子供の頃は、夕日に照らされた水しぶきに虹が
できるのを眺めるのが大好きで、飽きもせず父親の後をついて回ったものだっ
た。それが終わると、ちょうど大相撲の最後の3取り組みぐらいの時間となる。

 テレビの前に寝転がって大鵬が勝つのを確認すると、今度は風呂に入って浴
衣に着替える。あとは焼酎をチビチビとなめながら、今朝の読み残しの朝刊を
隅々まで読むうちに、夕餉の支度ができあがる。7時ごろには酒屋を営む祖父母
も店を閉めて、一家6人そろっての食事となるという日々が、永遠に続くと思わ
れたものである。

◇夕日が人生を変えることもある

 大人になれば、そういう生活が待っているものだと思っていた。ところがい
ざ自分が就職してみると、そんな生活など夢のまた夢であることを思い知らさ
れることになる。特に筆者が就職したのはテレビ業界でもっともキツい職種、
ポストプロダクション勤めだったため、朝9時半に出勤すると、翌朝の9時半ま
でノンストップでみっちり働かされる。睡眠は2日に1度という生活が、4年あま
りも続いた。

 筆者がそんな会社を辞めようと思ったきっかけは、ある日、赤坂溜池のあた
りで、赤坂プリンスの向こう側に沈みゆく夕日を見てしまったからである。そ
の日は編集室の改装工事が入っており、いつもよりも早く、というか普通の時
間に帰ることになったのだ。

 水面に反射する落陽の光に包まれながら、家路へと急ぐ人の群れに混じって
歩いていると、ふと父のことが思い出された。筆者の記憶の中では、大人も子
供も、夕焼けの黄金色の光の中で、家に帰るというのが常識だったはずなので
ある。

 普通は今頃帰るんだよな、という思いと、このままこの仕事を続けている限
りこんな時間には帰れるはずがないな、という思いが交錯し、「こんな生活は
人間らしいとは言えないんじゃないか」という怒りにも似た感情がこみ上げて
きた。

 結局それから会社を辞めるまで、なんだかんだと慰留されて半年もかかって
しまった。「精神的な健康」を求めて会社側と話し合っても、「そんなことを
考えるのはオマエが弱い人間だからだ」と叱責されたような時代である。だが
その後の人生や、人との出会いを考えると、あのとき主張したことは間違って
いなかったと思えるし、やっぱり辞めて良かったんだろうな、と思う。

◇サマータイムとは

 今国会では、「サマータイム法案」なるものが提出されようとしている。日
本では数年前から、世論調査などの結果を見ながらサマータイムの導入が検討
されているが、今年はその正念場を迎えることになりそうだ。

 まずサマータイムの基本的なところからおさらいしてみよう。この制度は、
日照時間が長くなる期間に限って時計を一時間早める、つまり働く時間を全体
的に「せぇの」で前に一時間ずらすことで、太陽が照っている時間を有効的に
使おう、というのが基本的な考え方である。

 たとえば朝5時に日が昇っても、ほとんどの人はそこから1~2時間は寝て過ご
している。その分が無駄というわけである。太陽が出ている時間と人間の起き
ている時間を極力シンクロさせるわけである。

 世界的に見ると、サマータイムを導入している国は、ECとカナダ、米国ほか、
それらの国々と関係が深い国、オーストラリアやニュージーランド、メキシコ、
キューバなどが実施している。アジアではロシアやモンゴルも導入国である。

 導入国を見るとわかるように、比較的緯度が高いため元々日照時間が短い国
では、導入のメリットが高いことは想像に難くない。一方、低緯度の近隣国で
も導入しているのは、取引国と時間を合わせた方がビジネス面で有利だから、
という面が強い。

 サマータイム導入の効果としては、以下のものが上げられている。

 1. エネルギー節約
 2. 屋外作業の生産性向上
 3. 余暇の拡大
 4. 交通事故、犯罪の防止・減少

 一見いいことばかりに見えるが、すんなり導入が決まらないわけは、それぞ
れの要素に対して反論があるからだ。

◇どの程度効果があるのか

 まずエネルギーの節約に関してだが、これにはいろいろな説がある。1999年
当時の通産省の試算では、原油換算で年間約50万キロリットルの省エネになる
という。一部の説の中には約5億リットルと表記するものもあるが、5億リット
ルと50万キロリットルは一緒なので、数字のイキオイだけで態度を決めるのは
危険だ。

 また、この数字は果たしてどれぐらいの規模なのかをしっかり把握すべきだ
ろう。日本が年間で使用するエネルギー量から考えれば、この数値は0.125%
に過ぎない、という意見もある。

 まあ仮に幾ばくかのエネルギーは節約できるとしても、サマータイムを実現
するためのコストは結構かかる。数年前だったか、日本全国の信号機のプログ
ラムを対応させるのに500億円かかるという話を読んだことがある。飛行機の
国際線をはじめ電車の運行ダイヤなど、交通機関にかかる負担はかなり増える
と思われる。

 また導入に対する混乱も、予想しておく必要がある。筆者はたまたまサマー
タイムが実施される前日に渡米したことがあるが、同行した友人の部屋は、ホ
テルのメイドが目覚ましをサマータイム時間に修正してくれなかったため、カ
ンファレンスに遅刻した。筆者の部屋はというと、時計はバッチリ1時間前に
してあったのだが、AMとPMを逆にセットしてくれちゃったために、破格に寝坊
した。こんなのは旅行者特有の笑い話かもしれないが、実際に起こり得る話で
もある。

 2.の屋外作業の生産性向上に関しては、以前日本でサマータイムを導入した
時の話が参考になるだろう。戦後まもなくの昭和23年(1948年)に、日本でも
GHQの始動によりサマータイムが導入されたことがある。当時発表された小説
などを読むと、「サンマータイム」などと書かれていて、微笑ましい。

 このときのサマータイムは、国民にコンセンサスを取る間もなく突然実施さ
れたという経緯もあって非常に不評で、昭和27年、GHQの廃止とともに廃止と
なっている。具体的な不評の原因としては、当時日本では第一次産業の従事者
が多く、もともと習慣として日が暮れるまで働いていたものだから、さらに朝
1時間分労働時間が伸びただけという結果になってしまった点が大きい。

 そもそも乳牛や魚相手に、今日から1時間早いからヨロシク、などといって
も始まらない。特に毎日の自然が相手の近海漁業では、漁獲高にも影響が出る
だろう。従来の時間のままでやればいいのでは、という話もあるが、それでは
競りの時間が一時間遅れることになり、ひいてはスーパーや寿司屋の準備時間
が1時間減ることになる。自分だけ元の時間で勝手に生きる、というわけには
いかないのが、サマータイムの難しいところだ。

 2.の事情ともつながるのだが、3.の余暇の拡大については、疑問を持つ声が
大きい部分だ。就業時間が決められている勤め人にとっては、結局朝早く働か
され、終わりはまだ日が高いからという理由で残業させられ、結果的に就業時
間が延びるだけという危惧は、もっともなところである。

 これには何らかの法案と連動して、サマータイムに起因する労働時間超過に
対して、厳しいチェック機構がなければ、なかなかコンセンサスは得られない
だろう。

 4.の交通事故、犯罪の防止・減少については、3.と関係してくる。つまり余
暇ができたとして、それをどこで過ごすかによるわけだ。まだ明るいうちに家
に帰って、余暇を家で過ごすのであれば、確かに事故や犯罪の抑制効果はある
だろう。

 だが余暇を会社帰りに過ごすのであれば、日のあるうちから一杯ひっかけた
あと、まだ夜も更けぬうちに大量の酔っぱらいが街に繰り出すということにも
なりかねない。まだ明るいからと若い女性や中高校生が街を歩いていると、余
計なトラブルも発生するだろう。

◇本当の効果はどこにある?

 サマータイムの効果を推測して数値で表わそうとすると、そこには必ず矛盾
が生じる。地理的にも産業構造的にも、日本のような国での導入には、参考に
なる資料が少ないのである。

 かつて日本がサマータイムを導入したのは半世紀以上前だ。一方、韓国でも
1988年のソウルオリンピックの年に、一時的にサマータイムを実施したことが
あるが、今の韓国ならともかく、急成長国家の20数年前、しかもオリンピック
という特殊事情が絡むと、これもあまり参考にならない。

 最近の実験では、北海道が昨年札幌商工会議所の主催でサマータイムを実施
した。今年も行うそうである。

 国内ではもっとも規模の大きい実験だと言えるだろうが、残念ながらこの実
験では、交通機関のダイヤや信号プログラム、放送などのシステムまでずらし
たわけではない。この実験はどちらかといえば「大人数で早寝早起きをやって
みた」というものであり、この結果を本来のサマータイムの結果として合わせ
込むのは無理がある。

 全国規模で本格的なサマータイム実施にかかる費用を考えると、経済的な効
果はかなり相殺されるか、ヘタをすれば実施初年度は大幅な「サマータイム赤
字」を産む可能性は非常に高い。

 サマータイムの効果に関しては、経済的、身体的な効果に関して議論は進ん
でいる。しかしいつもこの手の議論ではそうなのだが、どうも精神の健康面、
「メンタルヘルス」の議論が抜けているように思えてならない。

 米国でサマータイムを体験すると、筆者は日が傾いた黄金色に染まる街並み
を歩きながら、いつも父のことや、赤坂溜池の夕日のことを思い出す。自分の
長い影法師を踏みながら、家路につくのはなかなか気分がいいものである。そ
うした中で誰かのことを考えたり、また自分の人生を考えたりすることで、自
分自身を見つめ直すきっかけができれば、「早く家に帰る」効果はあったと言
うべきだろう。

 国の制度としてサマータイムを導入すべきかという点に関しては、現時点で
は降って湧いたような話で、障害が多いと言わざるを得ない。しかしこれをき
っかけにして、それぞれの業態や会社単位で就業時間を前にずらすなどの試み
があってもいいのではないかと思う。

 それはたとえば「夕焼けを見ながら家に帰ろうプロジェクト」でもいいじゃ
ないか。しゃちこばらず、サマータイムのオイシイところだけをもらっちゃえ
ばいいのである。

 そしていきなり制度化の前に、そういう粋な計らいが認められるような社会
基盤作りが、先にあるべきだ。まずはみんなして、気持ちのいい夕暮れを体験
してみるというのは、悪くない考えだろう。

 それがきっかけで会社を辞める者が出てきても、それはそれでしょうがない
ことではないか。

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《コメント》

 この記事は初出がWeb掲載だったのだが、どういうわけか当時ネットには疎い
と言われていた自民党の目にとまり、自民党支持者向けの小冊子にリライトし
てくれないか、という依頼が来た。おお、ついにオレも政治の道具に! とイロ
メキたち、少し短くまとめた原稿を送ったことを覚えている。サマータイム支
持者にとって、確固たる根拠は全然ないが、「サマータイムはいいものだ」と
いう雰囲気を醸成するのにいい文章だったのだろう。結果的にサマータイム法
案はお流れになった。最初に人の幸せを考えないで政治主導で仕掛けだけをや
ろうとしてもダメ、ということである。

 ちなみに自民党には消費税も付けて原稿料を請求したが、「消費税が付くと
いう話は最初に聞いてない」とゴネられて、結局その分を値切られてしまった。
あんたたちの党が決めた制度なんですが、そういう突っぱね方をされたら弱者
はただただ税金分を自分で被るしかないじゃん、自民党ホントひでぇ、と思っ
たものだった。


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02 │ニュースクリップ:おかめはちもく
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今週発表されたニュースの中から気になるものをピックアップ。その裏側に隠
された意味を考察します(ニュースのリンクはリンク先の都合によりリンク切
れになっていることがあります)。〔毎週配信〕


◆水説:世界4位の日本経済=潮田道夫
(毎日新聞/2011年10月19日)
http://mainichi.jp/select/opinion/ushioda/news/20111019ddm003070090000c.html

 毎日新聞論説委員長の潮田道夫氏のコラム。購買力平均ベースという数値にフ
ォーカスし、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)などのデータを
引用しつつ、日本の経済規模の衰退を予測。今年はインドに抜かれてGDPで世界
第4位に転落する見通しだそうである。『途上国化する日本』(戸堂康之著、
日本経済新聞出版社)からの引用によれば、現在と同じようなペースで世界経
済が10年続いたとすると、日本は途上国になるという試算があるという。

 その処方箋は外需拡大であり、それにはまず環太平洋パートナーシップ協定
(TPP)に参加すべきだ、と続くが、さすがにそれは無理がある。おそらく元々
の本ではもっと詳しく解説されているのだろうが、新聞記事の限られた文字数
でそれを言ってのけるのは乱暴、というか一方的な印象はぬぐえない。

 TPPは今もっともホットな話題と言ってもいいだろう。工業製品の輸出は関
税撤廃によって伸びる可能性もあるが、農業は関税で守られている分、不利に
なる。TPPの問題はそればかりではない。実は著作権の保護期間延長問題もア
メリカ基準で70年に、という話を滑り込ませようとしている。

 日本では2007年からこの問題を識者がさんざん議論し、データを集めて検証
したうえで「日本は著作権の保護期間を延長すると国益を損なう」という結論
を、著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム「thinkC」[*1] が中心と
なってまとめた。ここにきて、外圧によって著作権法の保護期間延長を謀ると
いうのであれば、「ポリシーロンダリング」と揶揄されても仕方がない。

 そもそもTPPの出発点は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーラン
ドといった経済的小国が、相互に協力することで経済効果を高めていこう、と
いうところにある。いわゆる小規模なEUみたいなことをやろうとしたわけだ。
そこにアメリカが乗り込んできてから、事態はアメリカが小国を搾取するとい
う方向へ進んでいる。

 TPPでやろうとしていることを、もっと詳細に書き出し、一つひとつについて
議論を重ねるべきで、「TPPがいい、悪い」といった二元論で語るのはいかにも
乱暴であろう。

[*1] http://thinkcopyright.org/


◆ソニーのデジタル一眼などが発売日未定に。タイでの洪水が影響
(Engadget日本版/2011年10月20日)
http://japanese.engadget.com/2011/10/20/sony/

 タイの大雨による洪水被害の影響で、ソニー期待の新製品の発売が未定にな
った、というニュース。

 ソニーだけではなく、他のメーカーにも深刻な影響を与えているタイの洪水。
実は精密機器には欠かせないフレキシブルケーブルの生産が、タイで行われて
いる。フレキシブルケーブルとは、半透明のフィルムの中に銅線を挟んだ薄っ
ぺらい集合ケーブルで、基板と基板の間を接続するのに使う。長さ、形など製
品ごとにカスタムで生産されるため、別のものを代わりに流用するわけにもい
かず、製造再開の目処も立っていない状況だ。

 もちろん日本の製品が作れないだけでなく、タイの人々の生活も心配される。
特に洪水は長引くほど汚水が混じって、衛生面での懸念が大きくなるのが問題
だ。

 先日打ち合わせでタイ王国大使館の前を通ったのだが、朝から受け付け待ち
の人の列ができていた。渡航の手続きもあるだろうが、義援金を持ち込んでい
る人も相当いるようだ。近くの会社に通う人によると、毎朝かなりの行列がで
きているという。

 タイは国民の平均月収が3万円しかないのに、東日本大震災の時には義援金
1,350万円、毛布21,000枚、タイ米15,000トンもくれて、さらには火力発電所2
基を無償で貸してくれた。我々もその恩義に報いる時がきたのだ。

 タイに対する義援金の寄付については、大使館のサイトに情報がある。[*1]
ネットバンキングでの振り込みもできるので、余裕がある人は協力していただ
けるとうれしい。

[*1] http://bit.ly/o9zMLi


◆YouTubeがクラウド上の無料ビデオ編集サービスWeVideoと提携~誰でもプロ
級の作品が可能に
(TechCrunch Japan/2011年10月19日)
http://bit.ly/qjv3kV

 クラウド上でビデオ編集するというプラットフォーム「WeVideo」がYouTube
との統合を発表、YouTube本体 [*1] から直接利用できるようになるというニュ
ース。

 ちょこっと試してみたが、FacebookやGoogleのアカウントがあればすぐに使
えて、機能もしっかりしている。最初に動画ファイルをサーバにアップロード
する必要があり、そこに若干の時間がかかるものの、いったん上げてしまえば
ローカルで作業するツールとそんなに変わらないレスポンスで作業ができる。

 どこまで手を入れて編集するかにもよるが、基本的なカットつなぎとテロッ
プ入れぐらいなら充分役に立つ。無償で使える範囲としては、1か月に出力で
きる分数が16分という制限がある。また解像度は360pと少し小さく、さらに
ウォーターマークが入る。料金を払うと、ウォーターマークなしで480pまで
出力させてくれるらしい。

 編集機能としては基本的なものは揃っているので、ビデオ編集の仕方を学ぶ
だけならタダである。エラい時代になったものだ。

[*1] http://www.youtube.com/create


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す。http://yakan-hiko.com/kode-nishi.html?tab=1

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始には、適宜合併号を発行します。

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[著者プロフィール] 小寺信良:コラムニスト/映像技術者/インターネットユーザー協会代表理事。1963年宮崎県出身。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、文筆家として独立。AV機器から放送機器、メディア論、子供とITの関係まで幅広く執筆活動を行なう。AV Watch、ITmediaなどにコラム連載中。

西田宗千佳:フリージャーナリスト。1971年福井県出身。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。