日本の教育はどうあるべきか?
グローバリズムのなか、日本の教育は危機を迎えています。英語教育はどうすべきか? 大学のあり方は?大学入試はどのようなものであるべきなのか? 文部科学省の役割は? 子どもたちが、今身につけるべき能力とは何か?個性を育む教育とは? 教科書検定は、必要なのか?
みなさんの日本の教育についてのヴィジョンを教えてください。
小学校、中学校、高校を振り返ってみて一番に思ったことは、教科書がおもしろくなかったことです。ただ事実しか書かれておらず、読んでいても眠たくなるだけでした。先生も当然、授業でそんな教科書を使っており、教科書に書かれていることをただ読んでいるだけなのでおもしろいはずがありませんでした。12年間の学生生活でワクワクドキドキした授業は両手で数えられるだけです。
教科書とか、参考書って、今のところここまでわかっているけれども、こんな問題があったり、こんなことがわかっていない。そんな問題に対してその分野で頑張っている先生たちはこういうふうに考えているけれども、君ならどう考えるっていうのを提供できるものであると思っています。検定教科書なんて事実しか書かれていない。
そして、従業でそういった教科書を使うことによって、先生たちは生徒たちにただ書かれている事実を淡々と話すだけで終わる授業ではなく、各分野の魅力とロマンを語れることが大事になってきます。先生はそれぞれの分野での現在わかっていない問題に対して、どう考えているのかを1人の人間として生徒たちに発表し、生徒はそれに対して自分の疑問や答えを投げかけられるように促すことが重要です。
そこで重要となってくるのは、先生の1つの役割である、各分野を学ぶのならどのような本を読めばいいのか、生徒に読書案内ができることだと思います。各分野の概要を把握することができ、どんな問題があって、何がわかっていなくて、どうすればわかるのか、といったことがワクワクしながら読める本を生徒に教えられることです。世の中のことを何もわかっていない子供に、世の中のことを伝えることができるのは、先生の脳と本だけだと思います。
したがって、検定教科書なんていうおもしろくない教科書を廃止して、先生自らが選択して、生徒たちが学問に興味を持ち、ワクワクできるような教科書を選ぶことが重要になってきます。そのため、先生は誰よりも本を読み、生徒にとびっきりの教科書を薦められることが必要になってきます。また、たった一冊だけでなく、入門としてこれを読み、だいたい概要を把握したらこれを読んで、次にもっと知りたければこれを読むべきだというような読書地図も示すことが大事です。
授業で使用する教科書をこのように先生の読書経験とある程度のその分野での評判(古典的名著とか、その分野の学者たちが薦めるものとか、アマゾンの書評とか)で、先生が選ぶことができるようにして、ただ事実だけを述べる授業内容を改めるだけでも、学生たちは学問に興味を持ち、自らさらに本やインターネットで調べるようになり、問題を見つけ、答えを出していくという自主性が生まれるのではないかと思います。
教育に必要なのは、学問に対する学生の自主性を身につけることなのです。そのためには、教科書改革が必要なのです。
竹内 健太