原発は是か非か
もちろん「原発は絶対安全だ」と言い続けた国や東京電力の問題は大きいと思います。ただ今回の事故に関して批判的な主張をしている側にも、その議論の仕方においては大いに反省点があるように感じるのです。
このように一見議論が盛り上がっているようで、本当に考えるべき大事なことが見過ごされていっているという状況は、津波の被害や放射能の被害とはまた違った方面から、日本という国の将来を危うくしていると思います。こうした状態があまり長い間続くと、議論の上ではなくて、気持ちの上で国民が分裂をしてしまいます。
僕としては何とかこの状況を打破したい。そこで、あえてみなさんにお聞きしたいのです。あなたは日本の原子力発電はどのようにすべきだとお考えですか。
原発は即時全廃させるべきなのか。それとも代替エネルギーとして自然エネルギーの開発を進めながら順次縮小させていくべきなのか。あるいは、より安全でより安価な原子力発を実現させることを目指して、積極的に原子力発電を発展させていくべきなのか。それともまったく別の選択肢があるのか。
真摯な議論をしたいと思います。あなたの考えをぜひお聞かせください。
原子力発電の問題ほど、理性的に考えなければいけない問題は
ないと思います。
皆様方の、理性的な判断に少し心が落ち着く気分です。
皆様方もおっしゃるとおり、最終的には
原子力発電所から出た高レベル放射性廃棄物は
日本の地下300メートルのところに封じ込められます。
その工事には100年がかかります。
これは、2007年10月に東北大学で開かれたオープンフォーラムで
京都大学の小出裕章教授と東北大学の栃山修教授が語られたものです。
賛成・反対の枠を超えて、
現実問題として最終処分には100年がかかり、
その最終処分場は未だ決まっておらず、
工事に着工するのも2030年と言われてますから、
完成するのは2130年以降。
今、生きている人たちはおそらく、
誰もこの最終処分場ができあがるのを見届けられないわけです。
遠い未来にあたる2130年に向けて、
2011年に起きたことを伝承していく重要性も感じます。
のんきに考えれば、
今から50年後か60年後には
すべての原子力発電所は原子炉の老朽化を迎え、
日本から原子力発電所はなくなると思います。
3・11以降に、新たに原子力発電所を
建てる自治体は現れないと思うからです。
ですが、今ある原子力発電所の炉を廃炉にするにも
50年から60年の年月がかかると聞きます。
もっと良い廃炉の方法はないものでしょうか。
廃炉の技術は今、原発を保有している
世界中の国々で必要とされていくでしょうから、
日本が進んでこの技術に取り組んでいくべきだと思います。
原子力の技術者・研究者の育成は急務だと感じます。
卑近な例で失礼を致しますが、
原子力発電は「できちゃった結婚」に似ていると思います。
事故があれば放射性物質を垂れ流す相手でも
できちゃったんだからしょうがないと腹をくくって、
周りで賛成だ反対だと騒がずに、
すでに生まれてしまった赤ちゃん(原発)と
自分の子供(日本政府)の先行きを考えて、
老後というか、
廃炉のことまで考えてあげなきゃいけないと思うのです。
結局、お金を出すのは親(国民)なのですが。
親の育て方というか、選択が悪かったとあきらめるよりほかがないと思うのです。
話変わって。
日本のエネルギー供給率は、
火力が6割、原子力が3割、自然エネルギーが残りの1割に
満たない程度ですが。
自然エネルギーにはもう少しがんばってもらって、
3割の原子力を今すぐにではなく段階的に減らし、
(今すぐだと絶対に混乱が生じるので)
節電によってカバーできないかと考えています。
主婦的な目線で考えると、
従来の40ワット球と同じ明るさのLED電球は、
消費電力の面ではたったの5・6ワットと低く、
電球1個につき70%近く節電できることになります。
3・11以降、需要が増えたLED電球は、とても安くなりました。
需要が増えると生産量が増して、値段が安くなる。
エネルギー問題については、「私たちの需要、何を求めて生きるか」を
問われているように感じます。