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「学歴」とは何だろうか

「学歴」とは何だろうか、ということについてみなさんのご意見をうかがいたいと思います。「学歴社会」が崩壊したとはいいながら、大手企業の中ではその採用において事実上の「指定校」制度をとっているところもあると聞きます。

はたして、18歳の時の入試の成績が、そんなに重要なのか。学歴は、それを持つ者にとっても、持たないものにとっても、やっかいな存在です。さまざまなコンプレックスの原因にもなる。情報ビッグバンで、多くの人が自由に情報にアクセスできる時代に、本当に「学歴」は必要なのでしょうか? みなさんのご意見をお聞かせください。

NO.6   seikunchi 2011/09/25 13:06:16 合計 0pt.

結論から言うと、この問いとしての意味での「学歴」は、必要ない、と思います。

学歴とはその人の“学んできた歴史”であり、それ以上の意味はないと思います。
日本の大学では、よっぽど授業出席をさぼって単位を落とすかしない限りは卒業できてしまいます(代返という技を使えば実際に本人が出席してなくても出席扱いになる)。さきほど、“学んできた歴史”と言いましたが、卒業するのが簡単なので、真剣に深く学んできた者とそうでない者との差に相当開きがあります。しかし、両者が同じ大学・学部・学科であれば、履歴書には同じ表記になります。これでは意味がありません。
なので僕の親世代などは、“いい学校を出れば(入れば)いい会社に就職できる”という古い世間の実態を知っているので、“何を深く学んできた・学びたい”という中身ではなく、“どこの学校を出たか・どれだけ大きい会社に入ったか”などの外側の部分にばかり目が行ってしまいます。これでは中身が良くなるはずがありません。「限られたパイのおいしい部分は自分が手に入れる」というレベルで話していること自体が情けないです。

そもそも、“いい学校を出れば(入れば)いい会社に就職できる”、の何をもって“いい”とするのか僕には全く理解できません。“いい”というのは人それぞれ違うはずです。それぞれが考える“いい”、をなりふり構わずそれぞれが情熱を持ってその“いい”を深く追求していけばいい。そしてWin-Winの作用でそれぞれの“いい”を共有していけばいい。“いい”の意味を世間的に画一化するのはやめてもらいたい。同じ理由で“勝ち組負け組”も理解できません。

世の中はいろんなことに関してとかく整理しようと思って区分したがりますが、ある意味では便利ですが危険だと思います。自分は今まで深く音楽を学び、演奏法を学び、作曲法を学び、活動しています。しかし、「音楽活動をしている」と言うと、鼻で笑われることが多々あります。この鼻笑には「まだそんなことをしているのか」という意味が含まれているのは明らかです。これは音楽を真剣に学んでいる者に対して失礼千万です。学校では音楽は特殊扱いです。つまり軽く見られています。芸術科目の授業数は減らされ、5教科は強化されています。まるで5教科以外は学問ではない、と言わんばかりに。

今の学校教育は結局、入試に向けた詰め込み式丸暗記方式。学問の本当の面白さなんてほとんど分からない。もっと実社会にリンクした教え方にすればいいのに、と前から思っていました。例えば、「車のこのパーツ設計にはこの物理計算式が使われている」とか、「この映画の台詞で面白い英文がある」とか、「この数学の公式はなぜ生まれる必要があったのか」とか、「みんなが見てる液晶テレビの“液晶”という物質はこんな化学式で構成されている」など。本当の学問の楽しさってそういうところにあるんじゃないかな。それが本当の教育なんじゃないかな。「この勉強が社会に何の役に立つの?」って結構前から言われてて、おそらくみんな感じてることだと思うけど、いつまでたっても授業の仕方は変わらない。ただ入試に必要だからやっている勉強なんてつまらないでしょ。社会でこういうことに役立つから、とか、こういうことに必要だから、という学問の根本動機と結び付かないと自主性は生まれないし、頭に入っていかない。

何かに興味を持ち、そこから深く学びたい、と思うタイミングは人によって違うと思う。きっかけはいつ現れるかわからない。小学校からの人もいれば、社会に出て何年もたってという人もいれば、60過ぎてからという人もいれば。始めるなら早い方がいいとは思うけど、何かを始めるのに年齢は関係ない。高校2年時で全員画一的に「何かを目指せ」という方が無理があると思う。

大切なのは“今”と“これから”だと思う。人間性も含めて今まで学んできたことによって、何のことについて知り、今どういう能力があり、今何に情熱を持って、これから何をしていきたいのか。人を統計のようなものさしで見るのではなく、個人個人をじっくり見てほしい。統計というものがあったとしても個人レベルでは結局みんな違うんだから。

そういう“学歴”はすごく意味があると思います。


混沌としている世の中に過剰にメスを入れ下手に整理するのではなく、(事柄にもよるとは思うけど)混沌としているものはある程度混沌としたままで、その中から1つを引き出していくような(アプリで言うところのEvernote的な)考え方が良いと思います。