トップ 書籍一覧 メルマガ一覧 ご利用ガイド サロン・通信講座

「学歴」とは何だろうか

「学歴」とは何だろうか、ということについてみなさんのご意見をうかがいたいと思います。「学歴社会」が崩壊したとはいいながら、大手企業の中ではその採用において事実上の「指定校」制度をとっているところもあると聞きます。

はたして、18歳の時の入試の成績が、そんなに重要なのか。学歴は、それを持つ者にとっても、持たないものにとっても、やっかいな存在です。さまざまなコンプレックスの原因にもなる。情報ビッグバンで、多くの人が自由に情報にアクセスできる時代に、本当に「学歴」は必要なのでしょうか? みなさんのご意見をお聞かせください。

NO.21   rachan 2011/09/30 18:27:23 合計 0pt.

今回のテーマは関心はあるのですが、幅の広い問題でなかなかうまくまとまらず、結局自分の経験談を中心に書いてみました。

学歴は、その人を知る一つの手がかりで、その人が背負っているであろう文化の背景や教養を推測させるものだと思います。現に私は良くも悪くも、その人が卒業した大学名や高校名を聞くと、「ああいう文化の中で育って、ああいうカラーを持って人なのかな」と何となく分類して考えます。しかし、その人が何者なのかは実際に自分で確かめなければなりません。

私は地方の進学校を経て東京の四年制大学を出ましたが、「学歴」に関しては、ちょっと屈折した思いがあります。それにはおそらく、一つに父の影響があります。私の父は、私から見ると学歴だけで人を判断する人でした。友人・知人の話をしても、その人の大学名が東大や早稲田などの名の知れた大学であると、私がした話の本質ではないのに、「へぇ~、立派な人だなあ」と言うのです。大学は国立大学でなければダメ、結婚相手は一流大学で大企業の人でないとダメ、という父によく反発しました。父は、言葉は悪いですが、お世辞にも一流とは言えない大学を出て、苦労して仕事についた人なので、今思えばコンプレックスの裏返しなのかもしれません。しかし、一方で父のような評価の仕方が世間でされていることも案外多いのかな、と思います。

また、日本で一番優秀とされる東京大学に関して「東大出てもしょうもない人がたくさんいる」「東大出ても仕事では使えない」とか、そんな話がよく耳に入り、それがかえって先入観になり、また学生時代身近に東大生がいても、たいしてその知性に感動することもなかったので、有名大学という「学歴」を重視する気持ちもありませんでした。

就職する時になり、学歴で就職に有利・不利があることを知りました。
私が就職した年は就職難でしたが、友人に「あなたの大学だったら、採ってくれるよ」と言われ、そんなものかと驚いたことがあります。

私は大学四年生になっても、将来何かになりたいという強い気持ちがなく、就職活動にも乗り遅れていました。行きたくもない会社に面接に行き、大学で勉強したこととおよそ関係のない仕事についていくことに対して(専門性を活かせる仕事ももちろんありますが)違和感を感じていました。

就職では、大学で学んだこととおよそ関係のない、以前から興味のあった飲食の会社に就職しました。父への反発もありましたし、単純に「こういう大学・学部を出たらこういう仕事につく」という枠を破ってみたいという気持ちもありました。それなりに名のある大学であったからか、2回目くらいの面接で「あなたはもう採用する方向で考えているよ」と言われました。

しかし、働いてみて、私が実際した仕事の上で私が持つ「学歴」はほとんど無用でした。
むしろ邪魔にさえなりました。「なぜ○○大学を出たのに、こんな仕事ができないの?」という言い方をされるのです。外食産業の世界には、学歴よりも経験と体力とセンスが必要です。そして、それは大学で別のことを専門にしてきた私が「好きだから」ぐらいで太刀打ちできるものではないと身をもって知りました。

その後、「世間には棲み分けのようなものがあって、私は自分が今でしてきた勉強を生かして何かできることがあるのでは」と思うようになりました。

父が大学名で人を判断するのに反発していた私ですが、学歴に対して現在は以下のように考えています。

たとえば、世間で名のある一流大学に入った人は、少なくともそれに見合うだけの知性の持ち主です(そう思いたいです)。
ある時自分は、自分がいいな、と思う文化人や作家、企業の経営者、政治家などが東大を出た人が多いことに気づきました。やはり、東大の入試を考えても、あれだけの科目で高得点を取れるのは、一部の人をのぞいて、教養のある、知的好奇心の高い人物だと思います。いろいろ学んだからこそできることがあります。それは世の中の動きを見極める力だとか、物事をよりよく進める力だとか。これらのことは別に学歴といいますか学力がなくてもできますが、学力があるからよりよくできることもあるのではないでしょうか。
だから、大学名などの学歴で人が期待感を持つこともわかります。そしていわゆる「学歴」の高い人はそれ相応の責任も担っていると思います。

しかし、「学歴」が異様に幅を利かせているのは危険だと思います。
学歴は、その人が何々大学に入るだけの力を持っているというだけで、その後のその人の成長は本人の努力如何によって大きく変わってきます。

就職に関しても、官公庁や大企業は有名大学が有利という印象を持っていますが、それと仕事ができるか否や問題解決能力や発想力があるかが一致しない時もあります。採用する側も面接や適性検査ではなく、実際に何日か仕事をさせてみて採用する、という形を取るのが望ましいのではないでしょうか。
また今の日本の混迷する現状を打破するのは、学歴という鎧を越えたところにあるものだと思います。