組織と個人のあるべき関係とは?
「組織の一人」として働くことと、「一人の人間」として働くことの間に
葛藤がある人は多いと思います。今、原発の復旧作業にあたっている東京
電力の社員もそうでしょう。このことは、正社員と非正規社員の問題にも、
就職活動の問題にも、つながるように思います。組織はどうしても必要な
もので、組織のない社会など考えられません。でも一方で、組織が個人の
自由を奪ってしまうことは事実ですし、日本ではとくにそれが目立ってい
ます。これを機に、組織と個人のあるべき関係について、もう一度考え直
してみませんか?
メルマガとBBSという、シンプルなツールを駆使してこのようなエキサイティングな場を設けて頂き、感謝しています。夜間飛行というタイトルは、岡本太郎の「夜の会」を彷彿させます。夜の会が、互いに遠慮のない意見をぶつけ合うことで新しい時代を開こうとした場であったように、新しいメディアを用いて新しい動きがこの場で進行しつつあると感じています。
せっかくメールマガジンを登録したからにはは、この機を逃さず、欠かさずに投稿・質問させていただきたいと考えています。素材を提供する側の熱意だけでなく、それを受け取る側の熱意もなければならないことが、このような場を成功させる上で一番むずかしい点だと思います。このような場をつくりあげることは大変なことと思いますが、できる限りの協力をしたいと考えています。
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■個人と組織
組織は個人の集まりなので、基本的には実態はないはずです。組織自体について考えるとつかみどころがなくなってしまうので、個人個人が集まって行う「コラボレーション」と、それに伴ってくる「制約」について、考えてみたいと思います。
いろいろな方面で技術が高度に発達した今、何かをやるときに、一人が必要な知識をすべて持っているということはもはや考えられなくなってきました。このような世界では、互いに役割分担することが必要です。
多様な個人が各自の技術を用いて共に働くことをコラボレーションと呼ぶことにします。個人はコラボレーションの中にあって、自分の特性や専門性、それに付随する知識や技能を最大限に生かします。自分の全てを提供しながら、同時にその技術も高めていくことは、たぶん個人の充実の一つの形といえると思います。
ところで、このコラボレーションを円滑に行うためには、一般に「制約」と言われるものが必要になります。制約は、コラボレートするために守るべきルールです。
例えば、夜間飛行BBSでは意見交換は、みんなが掲示板への投稿によって行われます。手段がBBSに限られているのは一つの制約です。しかし、このルールの下で、みんなで効率的に意見を発表し合い、お互いに刺激しあうことが可能になっています。このルールの目的は、みんなが充実できる活動を、効率的に行えるようにすることです。
各人が自分の全力・全能をぶつけて、いいものを組み上げていく中で、命を充実させていくのが本当のコラボレーションだと思います。
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ところで、今の組織を見てみると、確かに効率的で、たぶん、みんな全力を尽くしているのに、個人の充実という観点から考えると、疑問符が付いてしまうような「コラボレーション」がたくさんあるように思うのです。このような「コラボレーション」の特徴はどこにあるのか。たぶん協働の目的をどこにおいているのかがポイントなのです。
僕は、多くの組織が、参加する全ての個人の充実に配慮していないと思います。例えば、コラボレーションに参加するごくわずかの人間のためだけの目的が、参加者全員の目的となっている場合がある。
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僕は、この時代、「組織」が個人の生の充足を考えてくれることは期待できないと思います。彼らの「コラボレーション」の目的は、個人の充実とは別の視点から考えだされているのです。それか、充実ということをちゃんと吟味しないまま、ただ突っ走っているだけなのではないでしょうか?
だから、当面、個人としては、「個人の充実を考えない組織のなかでどう生きるか?」という問題に対して取り組まねばなりません。
僕は二つの案を出したいと思います。
一つは、自分が充実することを、「組織」が充実することより優先させていくということです。
それでは個人個人が好き勝手を行うカオスになるのではないかと思われるかもしれませんが、もし本気で組織の提供する「充実」に逆らうのなら、まずは徹底的に個人の充実とは何かを問うべきです。そして個人の充実と、他の犠牲や惨めさが共存しうるのか問うべきです。たぶん、自分が充実しているためには、仲間の充実も大切であり、そこに、強制されたものではないルールが生まれるのではないでしょうか。
もう一つとして、横行する「コラボレーション」のあり方と無関係のコラボレーションの場を自分たちで作っていくということです。
組織に属しながらでも、この様な場を設け、そこでクリエイトすることができると思います。ネットメディアにたくさんの工夫を凝らす余地のあるこの世界では、これは可能なことであるように思います。
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