組織と個人のあるべき関係とは?
「組織の一人」として働くことと、「一人の人間」として働くことの間に
葛藤がある人は多いと思います。今、原発の復旧作業にあたっている東京
電力の社員もそうでしょう。このことは、正社員と非正規社員の問題にも、
就職活動の問題にも、つながるように思います。組織はどうしても必要な
もので、組織のない社会など考えられません。でも一方で、組織が個人の
自由を奪ってしまうことは事実ですし、日本ではとくにそれが目立ってい
ます。これを機に、組織と個人のあるべき関係について、もう一度考え直
してみませんか?
組織と個人のあるべき関係は時代とともに変わっていったと考えました。
たとえば、1960年代は高度成長期で、個人一人ひとりの努力が(金銭的には分かりませんが)
少なくとも心理的には報われていた部分が大きかったのではないでしょうか。
多くの業界が活況に沸き、個人の会社に対する帰属意識が強かった。
このため、個人は「会社が潰れるときは自分も一緒に沈む」、「育ててもらった会社に恩返しを」と思っていた。
つまり、個人の価値観と組織の目的が一致していて、
結果的に、組織と個人のあるべき関係が成立していた(両方ハッピー)。
しかし、その半世紀後の現在は、不況が続き、給与所得者の年収は実質減少傾向にあり、
若年層の年金負担の問題などもあり、個人の努力が金銭的にも心理的にも報われない部分が大きくなってきているのではないかと考えます。
時代の変化とともに個人の価値観は多様化し、1960年代当時ほど身を粉にして働くという人は少なくなり、
会社に対する帰属意識も薄くなってきたのかもしれません。
このため、個人は「育ててもらった会社に恩返しを」といった積極的な気持ちは必ずしも持っていないかもしれない。
つまり、組織の目的達成のために組織が個人に要求することと、個人が組織に要求すること(金銭、休日等)に不一致が生じていて、
組織と個人のあるべき良好な関係が成立していない場合が少なくないように見えます。
したがって、仕事に向かう姿勢について、組織の構成員である個人一人ひとりの意識改革はもちろん必要ですが、
組織は個人によって成立しているものだから、組織が個人を大切にし、個人の価値観の多様性や変化を受け入れることも大切だと思います。
そして、「育ててもらった会社に恩返しを」といった積極的な気持ちを個人から抱いてもらえるような組織を構築するのためには、
具体的には、経営者自身に誠実性・倫理観があること及びその経営者の倫理的な行動に関する考え方を組織構成員にメッセージとして伝達し、組織構成員の考え方に変化をもたらすこと、
公正な人事採用・評価制度が構築・運用されていることなどが必要と考えます。
以上、書き込みの内容が重複した部分もありましたが、経営者がイニシアティブをとって上記のようなシステムを構築・運用することが、
組織と個人の両方がハッピーになれる第一歩になるのではないかと思います。