いじめについて
適塾では、同じ塾で学ぶ塾生たちから高評価を得ようとみんな必死になって勉強しました。このメルマガ私塾でも、より一層の切磋琢磨をしていただけると嬉しく思います。
さて、今回のテーマは、「いじめ」についてです。個人の問題と社会の問題を同時に考えなくてはならない、とても難しいテーマだと思います。はたして、「いじめ」を根絶することはできるのか。根絶することなどできないとしたら、どのような工夫をすることでいじめられてしまった方のダメージを減らすことができるのか。みなさんのお考えをお聞かせください。
日本ではいじめの問題が起きると学校や先生の責任にしたがる傾向がありますが、NO7のGotoichiさんのおっしゃる通り、学校現場は疲弊していると思います。当時小学4年生だった息子が同級生からのいじめで不登校になったとき、私自身もなかなか積極的に対処してくれない担任の先生に不信感を募らせていました。けれども、時間を経て今、まずいじめ解決の前面に立つ先生の支援が必要ではないかということを感じます。
息子は先生の目には留まりにくい巧妙な形でいじめを受けていたので、学校に行けなくなるほどの心理的な傷つきがあったにもかわらず、先生にはなかなか問題にしてもらえませんでした。最初は「不登校は家庭の問題」と思われたり、NO6のRyosuke85さんと同じように、「逃げてるだけではないか」と先生にたしなめられたり、とてもくやしい思いをしました。当初は、なぜいじめの事実関係を確認したり、息子と電話で話してもらうことでさえ、こちらから頼まないとすすまないのか理解できませんでした。けれども、たびたび学校に出向き先生とお話する中で見えてくるものもありました。
No14のYamanorisuさんも書かれていたように、先生方は一般的にクラス内の問題はクラス内で、つまり、できる限り担任の先生ひとりで解決しようとされるのが普通のようです。日常的な仕事プラス最近では複雑な子どもたちの問題や過干渉的な保護者の対応に先生方は神経を尖らせておられ、それをひとりで抱えておられます。当時、息子の担任の先生も複数の不登校や家庭内虐待でサポートが必要な生徒たちを受け持っておられました。息子への対応が後手に回っても仕方ない状況があると思いました。
首都圏の小中学校の教師350人を対象にアンケート調査をされた結果が、先日の読売新聞に載っていましたが、9割以上の先生方が「いじめ指導が難しい」と答え、その背景を「いじめが起きると担任の力不足ととらえられる」と回答した先生もあり、その結果を受けてある専門家が、「支援を求めず、自分で事態を回復させようとするうちに悪化、深刻になる例がかなり多い」とコメントを寄せておられました。
子どもたちのいじめを早期に発見する、SOSに気がつくために、まず先生同士のチーム体制や支えあいが必要なのではないでしょうか。それができない、しづらい状況があるとすれば一体何が原因なのでしょう。ゆきすぎた管理体制や評価基準があるのでしょうか。先生同士のまとまりがあってはじめて、学校内で手に負えない問題を、次の手として保護者会との話で解決の糸口を探したり、校外の専門機関とも連携がとれるのではないかと思います。
私が現場で感じたことも同様ですが、先生が評価にさらされ誰も頼れないというような殺伐とした状況で、どうして子どもたちの間で助けたり助けられたりという相互依存の場がはぐくめるのでしょう。先生方がチームを組む余裕すらないのなら、いろんな方の意見にあったように、もっと開かれた学校にすること、カウンセラーはもとより、地域から支援ボランティアや教育職、心理職志望の学生を募集し、先生のサポートをすることもできるのではないでしょうか。
幸いにも息子の場合、その後定期的に先生と話し合う時間を持ち、第三者として相談機関に入ってもらい、いじめの事実確認やクラスでの話し合いなどを経て再登校できました。解決するまでに半年という時間はかかりましたが、今では友達とたのしく学校生活を送っています。
けれども当時のことを思い出すたびに、いじめが小さい芽のうちに早く摘まれますように、今回の大津の事件のように命を落とす子どもがひとりでも少なくなりますようにと願ってやみません。
そのために大人が誰かを責めるのではなく、まず助け合い支えあうことの大切さを思い出すことが大切ではないかと思います。