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「誠実さ」について考える

先日、連続ツイートで紹介しましたが、僕には「誠実さの法則」というものがあります。

たとえば、最近の中国や韓国の日本へふるまいは、日本人からすると腹を立てざるを得ないものがあります。でも、現代の脳科学の標準的な見解によれば、脳の振る舞いにおいて、「自由意志」(freewill)は存在しません。国の行動というのは、それぞれの国の人々の認識や行動の集合体ですから、中国や韓国のふるまいも、ある意味で「必然」として起こったこととなる。

では、僕ら日本人は黙っているしかないのか。そこで「誠実さの法則」が出てきます。たとえ、相手の振るまいに自由意志がなく、今とは違った行動が期待できないとしても、それに対して「腹が立っている」という感情を伝えることで、相手が今後行動する時のパラメータが、劇的ではないにせよ徐々に変わるかもしれないことに期待する。これが、「誠実さの法則」です。

他人に対してあまり期待しない、しかし自分の感情は伝える。これこそが、自由意志が存在しない世界観と整合性のある、誠実さの法則だと思います。

みなさんも日々を生きる中で、それぞれ「誠実さの法則」があると思います。

ビジネスにおける「誠実さの法則」、家族のなかでの「誠実さの法則」、友人との「誠実さの法則」……。この「誠実さとは何か」を突き詰めることは、人間同士のコミュニケーションを突き詰めることになると思います。たくさんのご意見お待ちしています。

NO.3   茂木健一郎 2012/09/08 10:17:10 合計 9pt.

二国間のコミュニケーションにおいて、グライスの協調原理が充たされることはめったにない。それが問題。

Grice's Maxims

The maxim of quantity, where one tries to be as informative as one possibly can, and gives as much information as is needed, and no more.

The maxim of quality, where one tries to be truthful, and does not give information that is false or that is not supported by evidence.

The maxim of relation, where one tries to be relevant, and says things that are pertinent to the discussion.

The maxim of manner, when one tries to be as clear, as brief, and as orderly as one can in what one says, and where one avoids obscurity and ambiguity.

http://www1.appstate.edu/~mcgowant/grice.htm