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日本をデザインするとしたら

日本が復活するために必要な要素の一つに、僕は「デザイン」があると考えています。

今回発表されたAppleの新しいタブレット「iPad mini」は、スペックが事前にすべて流出していました。でも実物を目の前に出されると、やはり驚きがあって、「どうしても欲しい」と思ってしまう。あるいは、自動車についてもエンジンの性能だけを見て、人は評価しているわけではありません。とくにポルシェのような高級車はデザインによって人々の心を揺り動かしている面がある。また、JR九州の列車を水戸岡鋭治さんがデザインをするようになって、乗客が増えたと聞いています。このように、プロダクトの面でも、改めて、今デザインの力を問われているんですね。

また、今年のノーベル経済学賞は、「安定配分の理論とマーケットデザインの実践に関する功績」ということでマーケットデザインの研究者が受賞しました。つまり経済活動や世の中の仕組み全般も、デザインの対象になります。ただ自由に競争させておけばいい、という時代から、洗練されたデザインが必要だという感覚にシフトしつつある。

みなさんは、もし日本をデザインするとしたら、もっとも重視すべきはどんな点だと思いますか。具体的なデザイン案を提示していただいても結構ですし、この人にデザインしてもらいたいといった案でも結構です。みなさんの考えを聞かせてください。

NO.6   masami 2012/11/11 20:27:13 合計 9pt.

日本をデザインする、ってよくわからなかったのですが、日本がこんな国になるといいな、と思ったことを書いてみます。

最近読んだ、『日本人の宗教心』磯部忠正著は、日本人や日本の文化を信仰という視点から、考察しています。その中で、西欧文化の世界は、善悪や真偽の価値判断が効力を発揮する、顕の世界、理性の世界であり、一方幽の世界を持つ日本は、万有一体感の原理であり、強いて善悪を言えば、生命を産み、生命を守ることが善であり、これに反することが悪である。というようなことが書いてありました。この幽の世界は、アジアの中でも日本の特徴であるようで、日本が日本独特の豊かな自然に恵まれた、島国であったからかな、と思いました。
日本の自然を軽んじることは、私たちの幽の世界を失うこと、それが今の日本が辿っている道でもあるのかな、と感じます。そこで、かなり真剣に意識して、幽の世界に通じる、豊かな自然と一体感を感じられるような町を維持することはとても大切だと思います。高野山、比叡山などのお寺を中心にした地域、伝統手工芸関連の人たちが中心になって支えていく地域、伝統的な温泉街を中心に、日本古来の姿をとどめる観光地、などの中に、意識して、古い日本の姿を維持、あるいは復活させてほしいと思います。それは、生命というものを割り切ろうとして、矛盾を抱えている西欧世界のためにも大切ではないかと思います。そのためには、その幽の世界を、国内で維持する人材、維持するための方法を考える人材、その真の価値を世界に伝えることができる人材が必要だと思います。このような人材は、必ずしも日本人である必要はないと思います。その過程では、伝統的な技術を伝承するための制度の整備、高度な技術をあえて使わない街づくりの選択、そこに実際に住んで維持することを選ぶ人たちがいるかどうか、など、大変困難なことではあるかもしれません。それでも、私は、東京などのハイテクの街で遊んでも、ちょっと足を延ばせば自然の中でゆったり寛げる場、日本人のあらゆるものを受け入れる心の支え、拠り所となる場が、単なる観光のためではなく、生活の場として残っていってほしいと思います。