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内田樹&平川克美 
大人の条件
社会を生き抜く術が見つかる内田先生の課外授業!盟友・平川克美さんとのラジオ対談『たぶん月刊「はなし半分」』もテキスト版で完全収録です。(そしてなんと平川さんによる新連載も掲載予定!)

【プレタポルテおすすめ記事】
今、日本人が読むべき本7選
「責任を取る」ことなど誰にもできない


【 料金(税込) 】 550円 / 月 <初回購読時、1ヶ月間無料!!> 【 発行周期 】 月2回(不定期)
【 最新発行日 】 2024年 11月 30日
夜┃間┃飛┃行┃
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“The Book Project 夜間飛行”では、次世代の「本」の形を提案します


┏┓内田樹メールマガジン 大人の条件
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2011年12月12日 Vol.001


内田です。こんにちは。

「ぶっちゃけた話」をします。景気も悪くなり、人を養うどころか、自分が食べ
ていくのすら簡単ではない時代になりました。みなさん、内心ちょっと思ってい
ませんか。生産性も低くて、生意気な「子ども」が邪魔なんですけど……、切り
捨てたいんですけど……って。

でも私の答えは「それはだめです」というものになります。「子どもが邪魔だか
ら子どもを切り捨てる」というのは「子どもの発想」だからです。大人はそんな
ふうには考えてはならない。大人は子どもを大人にする方法について考える存在
なんです。

では子どもを大人にする方法とは何か。このメルマガではそれをゆっくりと説い
ていくことにしたいと思います。

どうぞよろしく。


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まで。届かない場合などは迷惑メール等に分類されている場合もありますので予
めお確かめください。
※バックナンバーは下記からウェブ経由で購入することができます。有料です。
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※発行日は第2、3、4週の月曜日です。第1、5週目についてはお休
みとさせていただきます。
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┏┏┏┏ ━━━━━━━━━━━
┏┏┏┏ 今週の目次
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★01 凱風館講義
第1講<「自分がやれること」って何?>
★02大人になるための本
第1回『困難な自由』エマニュエル・レヴィナス
★03平川克美さん連載「『おとな学』入門」
第1回<「おとな学」序説>

メルマガ『大人の条件』は、毎月3回発行いたします。
第2週は、内田先生のオリジナル誌上講義「凱風館講義」、書評コーナー「大人
になるための本」、そして平川克美さんの連載「『おとな学』入門」をお送りし
ます。
第3週と第4週には、内田樹と平川克美の「読むラジオ」と、ブログ「内田樹の研
究室」の過去記事からもう一度読んでおきたい文章を紹介する「プレイバック<
内田樹の研究室>」をお送りします。

※内田樹と平川克美の「読むラジオ」は、ラジオデイズにて有料配信されている
『たぶん月刊「はなし半分」』を完全テキスト化したものです。
ラジオデイズのサイトはこちらから→http://www.radiodays.jp/




【今週のつぶやき】
これから中沢さんや平川君とやる仕事って、吉本隆明の「大衆の原像」論に対す
る戦後世代からのanswer song
みたいなものになるような気がします。僕らは戦争を知らない、貧困も餓えも知
らないというスタンスからですけれど、先行世代への敬意を忘れずにがんばりま
す。


※メルマガ『大人の条件』のHTML版
( http://yakan-hiko.com/uchida.html)は、
写真などを埋め込み最適化されたレイアウトで読むことができます。
ぜひお試しください。

※また夜間飛行では、バックナンバーも含めたすべてのメルマガをePub形式で読
むことができます。トップページからログイン後、著者ページ→バックナンバー
でご希望の号を開くと、メールアイコンの横に本のアイコンが出ています。そち
らからダウンロードできます。


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01 │凱風館講義
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◇第一講:「自分がやれること」って何?

<今の若者は「やるべきこと」と「やりたいこと」への言及はありますが、「自
分がやれること」に対する関心が低いように思います。社会で認められるために
はこれが一番大事なことだと思うのですが、どんな心的力学が働いているのでし
ょうか?「就活マニュアル」等で紹介される、「履歴書を書くためには、まず自
己分析!」というのも胡散臭くは感じるのですが・・・・・>

みなさん、こんにちは。内田樹です。

いきなりむずかしい質問から始まりましたが、このコーナーはIくん(編集部注
:神出鬼没の編集者)が私にあてて「社会人になるため」に必要なことってなん
だろうという観点から、あれこれと質問を送ってきて、それに私がすぱすぱとお
答えするという、そういう趣旨のものです。

私に質問をしてくるIくん自身はもう立派な社会人ですし(奥さんも子どももい
ます)、彼が送ってくる「社会人になるためにはどうすればいいんでしょう?」
という質問は、Iくん自身が「これから立派な社会人になりたいんだけど、どう
してもよくわからないことがある」というふうにせっぱつまって問いかけてきた
ものではありません。では、完全なフェイクかというと、そうでもない。

Iくん自身はちゃんと社会人をやっているわけですが、彼から見ると、まわりに
いる「いまどきのわかいもん」たちの言動や所業にはいささか理解しかねるとこ
ろがあり、腑に落ちないところがある。仕事場の後輩とか取材先とかに、きっと
そういう若者たちがいるんでしょうね。

ですから、Iくんとしては、人生の先輩として、彼らをなんとか善導して、しか
るべき社会的責務を果たしうるポジションについてちゃんと働き、家庭もつくり、
年金なんかも払ってほしいなと願っているのです。しかるに、彼の言いたいこと
がどうも彼らにはうまく言いたいことが伝わらない。というか、自分がほんとう
は何を言いたいのか、Iくん自身にもよくわからない。

だって、就職して、結婚して、育児をして、市民税を払って、年金を積み立てる
ことが「人間にとって、そんなに大事なことなんですか?」ときらきら光る眼を
した文系の美少女なんかに至近距離からまっすぐ見つめられて訊かれたら、Iく
んだって絶句してしまいます。「ま、君の場合はいいんだけどさ」というような
是々非々主義的対応では、読者も困るし、Iくんの奥さんだって、ちょっと「む
っ」とするんじゃないですか。

かかる窮状を私がお救いしようではないか、と。そういう趣旨の講義なのであり
ます。

ですから、このメルマガの読者は「どうしてなんですか?」と訊く若者であって
もいいし、そう訊かれて困っている人でも、どちらでもよいのです。

以上、説明終わりです。

では、さっそく質問にお答えすることにいたしましょう。
[著者プロフィール] 1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。武道家。神戸女学院大学文学部名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。多田塾甲南合気会師範。『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞2010受賞。第3回伊丹十三賞受賞