「占い」と「魔法」を学問する
幼いころ、僕はいつもこんな夢想をしていました。いつか魔法が使えるようにならないかな、魔法を教えてくれる学校があったらいいのにな、と。
すっかり大人になった今でも、僕はその魔法の夢から醒めていません。占星術やタロットといった魔法世界の入り口の営みを生業にして生活しています。足しげく足を運んでいる英国では、「本物」の魔女や魔法使いたちとお茶やワインを飲み、語り合ったりしています。
多くの子どもはいつしか魔法の夢から醒めて「現実」を生きるようになるものですが、中には僕のように魔法を現実の中で生きるようになる者もいるのです。
東京アストロロジー・スクールはそんな夢と現実のあわいにある場のひとつ。ここにはたくさんの魔法を夢見る仲間たちが集っています。
今回の東京アストロロジー・スクール、夏季セミナーは、さらにその魔法の夢を追求しようとしています。魔法と占いの本格的な学びの場をご提供しようというのです。
題して「占いと魔法を学問する」。講師陣は当代きってのアカデミックで知的な教授陣です。
ルネサンス学の権威にして図像学の第一人者、伊藤博明先生には、タロットがいかにしてマジカルなツールになっていったのか、その原点に迫って頂きます。元来ルネサンス貴族たちの遊戯カードであったタロットに古代エジプトの夢を見たクール・ド・ジェブラン。彼はいったい何を、どんなふうに論じ、タロットを見えざる世界への扉へと変容させたのでしょうか。
また哲学者にして魔術の現象に真正面から学問的に取り組んでおられるのが、武内大先生です。武内先生には、この世界とあちらの世界のあわいに住まう「妖精たち」を召喚する魔術の実像について詳しくお話をいただきます。妖精とは何なのか。そしてどうしたら妖精とコンタクトすることができるのか。さらには妖精体験とはいったい何なのか。
そして我らが石井ゆかりさんには、ホロスコープの中で「隠されたもの」を表すとされる12ハウスについて、その繊細な感性と洞察に満ちた知性によって接近していただきます。
もちろん、東京アストロロジースクールの講師である賢龍雅人先生、そして私、鏡も皆さんと一緒に、この素晴らしい登壇者の導きのもと、魔法世界へと夏のひと時、参入します。
螺旋の途をたどり、霧の扉を抜けて、魔法の世界へ。さあ、一緒に旅しましょう。
鏡リュウジ
日時
8月8日(土)13:00〜18:30
(途中休憩あり、アーカイブあり)
タイムスケジュール
- 13:00〜13:30
オープニングトーク
鏡リュウジ - 13:30〜14:45
クール・ド・ジュブラン――近代タロットの父
講師:伊藤博明(埼玉大学名誉教授) - 〜休憩15分〜
- 15:00〜16:15
私の12ハウス
講師:石井ゆかり(ライター) - 16:15〜17:30
妖精体験の現象学
講師:武内大(立正大学教授) - 〜休憩15分〜
- 17:45〜18:30
クロージングトーク
鏡リュウジ×賢龍雅人 - 各講座1時間+質疑応答15分 総合司会:鏡リュウジ
講座概要
現在では占い用のカードとして人気を博しているタロット・カードは、元来は貴族の間の遊戯的カードとして、15世紀後半の北イタリアで成立し、それがさまざまな形態に変化しながらヨーロッパ中に流布していきました。このカードがエジプト起源とされ、そこにオカルト的意味が付与され、そして予言のための手段と見なされるようになったのは、1781年にクール・ド・ジュブランがパリで発表した「タロット・ゲーム」が発端です。本講義では、近代タロットの父と言うべき、ジュブランの論考のエッセンスを、そこに収められた図版とマルセイユ版タロットの図版を比較しながら、ご紹介いたします。
講師:伊藤博明
1955年北海道生まれ。牡羊座。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。埼玉大学名誉教授、放送大学客員教授。専門は思想史・芸術論。主著に『ルネサンスの神秘思想』(講談社、2012年)、『綺想の表象学――エンブレムへの招待』(ありな書房、2007年)、『寓意と象徴――見えないもののメッセージ』(集英社、2018年)、共著に『神秘哲学――イスラーム哲学とキリスト教中世3』(岩波書店、2021年)、編著に『哲学の歴史4 ルネサンス』(中央公論新社、2007年)、翻訳にアルチャーティ『エンブレム集』(ありな書房、2000年)、ホラポッロ『ヒエログリフ集』(ありな書房、2020年)などがある。
30年近く星占いを書いてきて、私の占いはしばしば「独特」と言われます。自分では奇をてらっているつもりはないのですが、「独特」なのは多分、ハウスの解釈ではないかと思いました。みなさんにもひとりひとり、「自分のハウス解釈」のバリエーションがあるはずです。今日は改めて、具体的な日々の占い過程にも触れつつ、ハウス解釈と、星占い自体の考え方などについて、あらためて振り返ってみたいと思います。
講師:石井ゆかり
ライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆、「12星座シリーズ」(WAVE出版、すみれ書房から増補版)は130万部を超えるベストセラーに。「星占い的思考」(講談社文庫)、「夢を読む」(白泉社)等、著書多数。累計発行部数は500万部を超える。
妖精は実在するのだろうか。少なくとも、妖精を見た、あるいは出会ったと語る人々は存在する。そうした体験を単なる迷信や虚偽として片づけてしまってよいものであろうか。その体験をいったん受け止め、それがどのように現れ、いかに語られ、身体や想像力、儀式と結びついてきたのか、さらに妖精という存在が個人や社会にとってどのような意味をもつのかを問う。初期近代の妖精視者と魔女裁判、妖精召喚のグリモワ、そして現代魔女たちの妖精体験を取り上げ、時代を越えて反復される経験の構造とその歴史的変容を探っていくことにしたい。
講師:武内大
立正大学文学部哲学科教授。専門は現象学と西洋オカルティズム。現象学研究を出発点に、魔女、妖精、ジョン・ディー、エッカルツハウゼン、エリファス・レヴィなど西洋魔術思想の研究に学問的アプローチで取り組む。著書に『現象学と形而上学――フッサール・フィンク・ハイデガー』(知泉書館、2010年)、『本当にあった魔法図鑑』(鏡リュウジ監修、高橋書店、2025年)、共著に『あらわれを哲学する――存在から政治まで』(晃洋書房、2023年)、ユリイカ臨時増刊号『タロットの世界』(青土社、2021年)に寄稿。論文に「魔術的現象のリアリティ――魔女容疑者の体験分析」「『妖精の宴』から『魔女のサバト』へ――儀式と軟膏」など多数。NHK BS「ダークサイド・ミステリー」等メディア出演も。


