< 夏期特別セミナー >
運命を導くスピリット(霊)
今年もこの季節がやってまいりました。
夜間飛行運営、東京アストロロジースクールの「夏期特別セミナー」です。
東京アストロロジースクールでは、占星術やタロットの実践的な技術を教授していますが、同時に「占い」をより広い文化的な文脈の中に位置づけ、その豊かさを広くお伝えしていきたいと考え、さまざまな公開イベントを企画しています。恒例になった夏期特別セミナーは、そのハイライトの一つです。今回のテーマは「運命を導く”スピリット”霊」です。ここしばらく「スピリチュアル」がブームとされていています。「スピリチュアル」は一般化しすぎて、ときに「スピる」という揶揄的な響きをもつ表現さえも用いられるようになってまいりました。
しかし、長い歴史の中で「スピリット」はリアルなものとして人類に感知されてきました。近代以降、僕たちの合理的な知性はスピリットのリアリティを認めがたくなっていますが、その強い存在感は消えてはいません。
今回の特別セミナーでは、このスピリットにたいして様々な角度から、勇気をもって迫っていこうと思います。
アラブ・イスラム世界、モンゴル、そして占いにおける霊(スピリット)、第一人者たちがご案内、ご紹介していきます。
さあ、この夏の日、運命を導くスピリットの声に耳を澄ませてみましょう。
鏡リュウジ
日時
8月2日(土)13:00〜18:30
(途中休憩あり、アーカイブ配信あり)
タイムスケジュール
- 13:00〜13:30
オープニングトーク:運命を導くスピリット(霊)
講師:鏡リュウジ - 13:30〜14:45
シン・シャーマニズム論―霊とつながる技術を再考する
講師:島村一平 国立民族学博物館教授 - 〜休憩15分〜
- 15:00〜16:15
アイデンティティと運命
講師:石井ゆかり ライター - 16:15〜17:45
イスラーム民間伝承におけるジンの存在
講師:ライアナ ・セイフ アムステルダム大学助教授 - 17:45〜18:30
クロージングトーク:改めて運命を導くスピリット(霊)
賢龍雅人×鏡リュウジ - 総合司会・通訳:鏡リュウジ
講座概要

シャーマンは、いかにして霊の世界とつながっているのでしょうか?古来、シベリアの狩猟民たちのシャーマンは、鬱蒼とした針葉樹林を舞台に、獣の毛皮を纏い円形の革張りのドラムを叩きならしながら、森の動物霊とつながってきました。また中南米の先住民のシャーマンたちは向精神物質などの助けを借りることで動物や精霊に変身すると言われています。本講座では、シャーマニズムのさまざまな「霊とつながる技術」をふまえた上で、講師がモンゴルでのフィールドワークを通じて発見した新しいシャーマニズムの技術について解説していきます。キーワードは「韻の憑依性」です。
講師:島村一平
国立民族学博物館教授。文化人類学・モンゴル研究専攻。博士(文学)。 1969年県生まれ。1993年早稲田大学法学部を卒業後、ドキュメンタリー番組制作会社に就職。取材で訪れたモンゴルに魅了され制作会社を退社、モンゴルへ留学。 1998年モンゴル国立大学大学院修士課程修了。2003年総合研究大学院大学博士後期課程単位取得退学。滋賀県立大学人間文化学部准教授を経て現職。2024年フランス高等研究実習院招聘教授。2013年度日本学術振興会賞、地域研究コンソーシアム賞、2014年度大同生命地域研究奨励賞をそれぞれ受賞。著書に『憑依と抵抗』『増殖するシャーマン』『ヒップホップ・モンゴリア』『辺境のラッパーたち』(編著)、『シャーマン 霊的世界の探究者』(翻訳監修)等がある。

「私の運命は?」と「私は何者なのか?」という2つの問いは、星占いでもっとも大きなテーマと言えるのではないでしょうか。この2つは分かちがたく重なり合っている、と私は考えています。占いは公の社会においてオカルト(隠されたもの)としてしばしば排除されますが、ゆえにカウンター的な存在でもありうるかもしれません。アイデンティティの喪失がナショナリズムや排外主義に結びつくとも言われますが、運命とアイデンティティを「星占い」の観点から、改めて考え直してみたいと思います。」
講師:石井ゆかり
ライター。著書『12星座シリーズ』(WAVE出版)が120万部のベストセラーとなる。他に『星栞2022年の星占い』(幻冬舎コミックス)、『後ろ歩きにすすむ旅』(イースト・プレス)、『子どもの自分に会う魔法 大人になってから読む児童文学』(白泉社)『選んだ理由。』(ミシマ社)など多数。

世界各地の文化においては、自然現象や魔術、あるいは策略を通じて人間と関わる超自然的な存在への信仰が広く見られます。たとえば、西欧における妖精や、日本における鬼などがその例として挙げられます。イスラーム圏においては、「ジン(jinn)」と呼ばれる存在への信仰がきわめて普遍的であり、宗教的・民間的の両方の文脈において、その姿を確認することができます。
ジンは、イスラームの聖典『クルアーン』の中でも明確に言及されており、イスラーム世界における民間伝承にも数多く登場します。また、多くのムスリムがジンと幸福な形で、あるいは恐ろしいかたちで遭遇したことがあると言っています。そしてジンとの遭遇は現代においてもいまだ語られているのです。
本講義では、ジンに関する伝承について概観いたします。具体的には、まず『クルアーン』におけるジンの描写を検討し、次にジンのふるまいや外見に関する歴史的な記述を取り上げます。さらに、現代メディアにおけるジンの表象についても考察することで、ジンという存在がイスラーム的想像力において、どのような位置を占めてきたのかを明らかにしてまいります。
講師:ライアナ・セイフ
アラビア・イスラム魔術。アムステルダム大学助教授。オックスフォード大学で博士号を取得後、ロンドン大学ウォーバーグ研究所でポスドクを経て、現職。初期アラビア・イスラム文化からルネサンス期ヨーロッパにいたる魔術の歴史を専門とし、共編著・論文多数。主著『アラビア星辰魔術と中世・ルネサンスの秘教哲学』。また、中世アラビアの魔術書『ピカトリクス』を校訂訳。